冷凍食品

2012/11/15 00:00
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 本日発売――。

『チェーンストアエイジ』誌2012年11月15日号の特集は、「冷凍食品-ニッポン ソリューションフード―」である。

 

「なにっ? 冷凍食品」と驚く向きも多いかもしれない。

 

 多くの食品小売業にとって冷凍食品とは、出血大サービスで販売してお客を集める赤字商品(=ロスリーダー)の位置づけであり、話はそこから発展しようがないと思われがちだからだ。

 

 確かにそうした側面があることは否定できない。

 

 ある経営者は決算発表会の席上、「2011年は『冷凍食品5割引き売り』を打破しようと考え、4割引きで売った。しかし競合店との関係で今年に入ってからは5割引きに戻さざるをえなくなった。できればやめたいのだが…」と口ごもった。

 

 また、以前、ある商品部長に聞いたことがある。「なぜ、赤字覚悟で冷凍食品の5割引き販売をするのかと言えば、50%割り引くと2倍の量が売れると分かっているからだ。粗利益率は減少するけれども、粗利益額は維持できる。そして、このバイイングパワーを背景にNB(ナショナルブランド)メーカーと交渉して、粗利益率を稼げる自社PB(プライベートブランド)商品をつくってもらうためだ」。

 

 このような考え方が業界全体に蔓延しているきらいがあり、冷凍食品を著しく魅力のないポジションに追いやってしまった感がある。

 

 商品開発の方向性も似たり寄ったりであり、これまでのメニューは、弁当のおかずや揚げ物が中心だった。

 冷凍食品は、《冷凍チャーハン》《冷凍うどん》《自然解凍》…と、実は数年おきに凄い技術革新を積み重ねてきた。にもかかわらず、常態化した廉価販売のもと、スポットライトを浴びる機会は、それほど多くはなかったのだ。

 

 ところが、ここにきて、大手小売業を中心に顧客視点のマーケティング発想に立った商品開発が本格的にスタートしており、にわかに冷凍食品が注目され、輝き始めている。

 

 たとえば、イオン(千葉県/岡田元也社長)は、簡便商品の「使いたい分だけシリーズ」やごはんと主菜をセットにした「ワントレー」型のPB冷凍食品を次々と投入している。

「6次産業」企業を標榜する神戸物産(兵庫県/沼田博和社長)は、冷凍野菜、冷凍肉、冷凍魚などといった素材系の開発を強化する。

 ヤオコー(埼玉県/川野清巳社長)は、おいしさとコストパフォーマンスに焦点を当てたオリジナル冷凍食品の「やさしいテーブル」シリーズの商品ラインアップ拡充を図っている。

 

 冷凍食品が素晴らしいのは、製造時の鮮度や食感、味、栄養価を損ねることなく長期間保存ができることだ。冷凍技術や解凍技術の革新がこのことを可能にしている。

 

 そして、この特性を活用すれば、いまのニッポンに起こっている高齢化問題や食の砂漠(フードデザート)問題解決の糸口だって見えてくる。

 実際に日本生活協同組合連合会(東京都/浅田克己会長)には、高齢者向けの夕食宅配事業を補完する役割をワントレー型の冷凍食品に求める動きもある。

 

 一方、冷凍食品は、小売業にとっては、廃棄ロスをなくし環境問題解決にも貢献できる。

 地球の人口が70億人を超え、さらに増大する中で食糧不足問題と食糧価格高騰は必至だ。これまでのように、売れなかった生鮮食品を簡単に廃棄することは許されなくなるだろう。

 

 そんな観点から見てみれば、冷凍食品が地球を救う可能性だってある。

 

 それが今回、この特集を組んだ理由である。

 

※「冷凍食品」特集は総ページ数40ページの大企画です。ぜひ、お読みください。
 

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