料理・文化に国境なし! 京都・祇園で楽しむ本格ロシア・ウクライナ料理

2023/07/07 05:55
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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何て豊かな食事なんだ!

 しばらくして、私の目の前に置かれたのがボルシチ。メニューには「ウクライナ風スープ」とある。同じタイミングで、ピロシキもやってきた。

ボルシチ(ウクライナ風スープ)。トマトベースの、非常にあっさりした味わい

 ボルシチは、「底にあるクリームをスプーンで混ぜてください」と言われたが、最初は何もせずそのままふくむ。トマトベースの、非常にあっさりした味わい。今度は混ぜると、まろやかながらやや酸味のある風味が口いっぱいに広がり、お、と思った。いわば「味変」である。

 そしてピロシキ。頬張ると、想像していたのと全然違う。ふっくらとした生地の向こう側には、優しい味の具材が待っていた。

ふっくらとした生地の向こう側に、優しい味の具材が待っていた

 いずれも薄味で上品。京料理も薄味だが、素材のよさを生かしつつも、だしの旨味とは異なるアプローチに料理の奥深さを感じた。

 これがロシア、というか旧ソ連各地で食べられていた料理なのか。よいではないか!

 ビールも注文した。本来ならウクライナ産がベストなのだけど、取り扱いがないという。じゃあ、ということで私はメニューにある国産ブランドを指差した。すると東欧風のお姉さんが、そこだけしっかりとした日本語を使い「生中ですね」と言ったのは意外だった。

 お次はジャガイモのサラダ、続いてメーンの「ゴルブィッツィ」(ウクライナ風ロールキャベツ)。これがまたウマイのですよ。多分、いろいろなチーズが絡みあっているのだろうが、深みのある濃厚なおいしさ。もう感激である。

ジャガイモのサラダ。どれも食べたことのない味わい

メーンのロールキャベツ。いろんなチーズが絡み合い、深みのあるおいしさ。これがまたウマイ

 最後は「チャイ」(紅茶)。何やら、かわいらしい器も運ばれてきたと思ったら、「お好みで入れてください」との説明。覗き込むと紅色の美しいゼリー状のものが見える。

最後は「チャイ」(紅茶)。お好みで「バラの花びらのジャム」を入れる。何て繊細で、豊かな食事なんだろうか

 実はこれ、「バラの花びらのジャム」だそうだ!

 何て繊細で、豊かな食事なんだろうかと思った。その後、追加注文したデザートもいただいたが、すべておいしかった。

 ちなみに私が食べたお昼のセットは1880円。これだけ手の込んだ料理でこの価格は正直、安いと思った。一度、行ってみる価値は十分にあると思う。

 来る前の予想とはまったく違う、料理、味だった。大変、満足である。お勘定を済ませた私は、また平和が訪れることを強く祈り、店を後にした。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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