料理・文化に国境なし! 京都・祇園で楽しむ本格ロシア・ウクライナ料理
何て豊かな食事なんだ!
しばらくして、私の目の前に置かれたのがボルシチ。メニューには「ウクライナ風スープ」とある。同じタイミングで、ピロシキもやってきた。
ボルシチは、「底にあるクリームをスプーンで混ぜてください」と言われたが、最初は何もせずそのままふくむ。トマトベースの、非常にあっさりした味わい。今度は混ぜると、まろやかながらやや酸味のある風味が口いっぱいに広がり、お、と思った。いわば「味変」である。
そしてピロシキ。頬張ると、想像していたのと全然違う。ふっくらとした生地の向こう側には、優しい味の具材が待っていた。
いずれも薄味で上品。京料理も薄味だが、素材のよさを生かしつつも、だしの旨味とは異なるアプローチに料理の奥深さを感じた。
これがロシア、というか旧ソ連各地で食べられていた料理なのか。よいではないか!
ビールも注文した。本来ならウクライナ産がベストなのだけど、取り扱いがないという。じゃあ、ということで私はメニューにある国産ブランドを指差した。すると東欧風のお姉さんが、そこだけしっかりとした日本語を使い「生中ですね」と言ったのは意外だった。
お次はジャガイモのサラダ、続いてメーンの「ゴルブィッツィ」(ウクライナ風ロールキャベツ)。これがまたウマイのですよ。多分、いろいろなチーズが絡みあっているのだろうが、深みのある濃厚なおいしさ。もう感激である。
最後は「チャイ」(紅茶)。何やら、かわいらしい器も運ばれてきたと思ったら、「お好みで入れてください」との説明。覗き込むと紅色の美しいゼリー状のものが見える。
実はこれ、「バラの花びらのジャム」だそうだ!
何て繊細で、豊かな食事なんだろうかと思った。その後、追加注文したデザートもいただいたが、すべておいしかった。
ちなみに私が食べたお昼のセットは1880円。これだけ手の込んだ料理でこの価格は正直、安いと思った。一度、行ってみる価値は十分にあると思う。
来る前の予想とはまったく違う、料理、味だった。大変、満足である。お勘定を済ませた私は、また平和が訪れることを強く祈り、店を後にした。