『「ごきぶりホイホイ」生みの親 大塚正富のヒット塾』
廣田章光/日経ビジネススクール編(日本経済新聞出版社/1500円〈本体価格〉)

2019/02/01 00:00

「ごきぶりホイホイ」生みの親 大塚正富のヒット塾

 今やメーカーだけでなく、小売、卸も商品を製造する時代である。ヒット商品を生み出すにはどうすればよいのだろうか──。

 

 そのヒントが本書には詰まっている。大塚正富氏は大塚グループの発祥企業である大塚製薬工場を立ち上げた大塚武三郎の五男で、元アース製薬の社長だ。ロングセラー商品の「オロナイン軟膏」や「オロナミンC」の開発を研究面から支えただけでなく、アース製薬で「ごきぶりホイホイ」や「アースレッド」など数々のヒット商品を生み出した実績を持つ。開発当時のエピソードや発言に触れながら、正富氏の「ヒットの法則」を紹介しているのが本書である。

 

 ヒットの法則の1つに、「消費者に2度、感動を与えなくてはいけない」というものがある。1度目は、売場で、見た目で感動させる。実際に、「ごきぶりホイホイ」の赤い屋根と黄色い壁の家のかたちを模したカラフルなパッケージは、正富氏がデザインし、絵柄を書いたという。2度目は顧客が購入し、使ったときにその効果で感動を与える。情緒的な価値を伝える美的感覚と、商品の機能性との融合が重要であると指摘する。

 

 また、「常識破り」と「常識はずれ」はまったく別物である点も強調している。オロナミンCは「常識破り」によって誕生したという。それを象徴するエピソードが価格設定だ。当時、牛乳1本12円、コカ・コーラが38円の時代に、オロナミンCを1本100円で販売した。これは、価格を決めるのは原価からの逆算ではなく、「商品の価値」であるというヒットの法則に基づいている。

 

 最後に本書は正富氏の手法をマーケティング研究の視点から分析している。正富氏による実践は、「人間中心主義」や「カスタマー・ジャーニー」など最新のマーケティング研究の視点から理にかなっており、これからの時代のマーケティング手法として意義が大きいという。商品開発、マーケティングに携わる人は必読の一冊である。

 

(『ダイヤモンド・チェーンストア』2019年2月1日号掲載)

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