キッコーマン代表取締役社長CEO 堀切 功章
長年培ってきたノウハウを生かし新たな価値を提供する!

2013/12/16 12:00
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「アイデアボックス」で社員の商品アイデアを共有

──グループ売上高の約37%を占める食品事業の売上も、上期は同3.7%増と好調です。そのなかで売上高が50億円規模に成長した簡便調味料の「うちのごはん」シリーズは存在感を示しています。

 

堀切 和風の簡便調味料である「うちのごはん」シリーズの販売を開始したのは02年で、今年で11年目を迎えました。

 

 

 発売当初はどのカテゴリーにも分類されない商品でしたが、徐々にお客さまに認められるなかで、競合他社の参入もあり、最近では小売店に簡便調味料カテゴリー専用の棚ができるまでになりました。

 

 競争は厳しくなるけれどもカテゴリーとしての市民権を得て、市場全体がここ2~3年で大きく拡大したことはプラスにとらえています。職を持ちながら主婦業をこなす女性や調理をする男性が増えていますので、簡便調味料の市場はさらに伸びるとみています。

 

──デルモンテ飲料と豆乳を中心とした飲料事業は売上高全体に占める割合が25%になるまでに成長しています。

 

堀切 今年5月に茨城県に豆乳の新工場を稼働させました。豆乳に関しては新しい商品のアイデアも数多くあります。この12月から来年5月にかけて桜餅風味の「紀文 豆乳飲料さくら」を季節限定で販売します。2月の受験シーズンを意識し「サクラサク」という縁起のよさをパッケージで表現しています。

 

 今までは牛乳の代替品として位置づけられることの多かった豆乳ですが、その概念を打ち破るような豆乳のよさを表現できる商品を出していきます。

 

──豆乳以外にも新商品のアイデアはたくさんありますか。

 

堀切 潜在需要を発掘するような新たな切り口の商品を開発する余地は多く残っていると思います。

 

 たとえば今年8月に発売して以来、計画を上回るペースで売上を伸ばしている「味チェンジ鍋つゆ」は、みんなで鍋を食べて、飽きてきた頃に最後は違う味で食べたいというニーズを商品化したものです。こういった日常の思い付きのなかに新しい商品のヒントはたくさんあると思います。

 

 10年から新規事業を立ち上げる社内ベンチャー制度「K-VIP」に取り組んできましたが、これとは別に、最近、「アイデアボックス」という社内で気軽に商品アイデアを投稿して共有できる仕組みを取り入れました。

 

 社内のイントラネットで投稿したアイデアに対し社員が「いいね!」で評価したり、コメントを投稿でき、それらを商品開発部が参考にして具体的な開発へと落とし込んでいきます。

 

 私どもも仕事を離れれば消費者の1人なのですから、自分たちもお客さまの立場で考えることがとても大事です。それが経営理念に掲げる「消費者本位」の商品アイデアにもつながると思います。

 

 IT技術の進化のおかげで「アイデアボックス」のような取り組みも今では手軽にできるようになりました。これは、商品開発のためだけでなく、コミュニケーションを活性化することで風通しのよい、社員同士が化学反応を起こす組織にするための仕掛けでもあります。

 

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