セブン-イレブンの7NOW全国展開へ!拡大するクイックコマースへの“懸念”とは

2024/04/03 05:54
中井 彰人 (nakaja lab代表取締役/流通アナリスト)
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新たな社会問題を生む懸念も

 ビジネスが世の中のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を前提とした仕組みに変わっていくというのは当たり前なのだが、DXによってデジタル化されるのは「情報」であって、「モノの移動」に関しては、現状では技術革新が十分に追いついていない。

 ドローンやロボットが人に代わって運んでくれるようになれば、移動コストは固定費割合を落とすことが可能になるが、人が運んでいる限り人件費であり、労働集約的な工程として残る。

 ギグワーカーを都合よく活用することで何とかしようというのでは、物流2024年問題の時代を“裏技”で逃げているようなものであろう。

 ロボティクスが人に代わって機能する時代が来るまでは、「ギグワーカーを活用して人件費をコストダウンする」という発想は時代に逆行しているのではないか。

 ロボティクスの技術革新のスピードを超えて、先にクイックコマース市場が拡大していくのだとすれば、近いうちにまた新たな社会問題を生むことになるのではと懸念してしまうのだが、皆さんは杞憂だと思われるだろうか。

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記事執筆者

中井 彰人 / 株式会社nakaja lab nakaja lab代表取締役/流通アナリスト
みずほ銀行産業調査部シニアアナリスト(12年間)を経て、2016年より流通アナリストとして独立。 2018年3月、株式会社nakaja labを設立、代表取締役に就任、コンサル、執筆、講演等で活動中。 2020年9月Yahoo!ニュース公式コメンテーター就任(2022年よりオーサー兼任)。 2021年8月、技術評論社より著書「図解即戦力 小売業界」発刊。現在、DCSオンライン他、月刊連載4本、及び、マスコミへの知見提供を実施中。起業支援、地方創生支援もライフワークとしている。
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