メチャカリ、エアークローゼットに続いて、大丸松坂屋も参入 ファッションサブスクはアパレル業界を救うのか、これからどうなる?

2021/04/21 05:58
    油浅健一
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    市場縮小でアパレル業界が苦境に陥る中、毎月定額で洋服をレンタルするサブスクリプション型ファンションレンタル業態が勢いを増している。専門企業の他、アパレルメーカーや百貨店も参入するなど、「売り切り」から「所有せず着まわしてもらう」へのシフトが加速する。消費動向の変化を絡め、その可能性や今後の展望について検証する。

    SEE D JAN/iStock
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    「売り切り」から「所有せず着まわしてもらう」へのシフトが加速

     エアークローゼット(東京都/天沼聰社長)がけん引するファッションのサブスクモデルがいよいよ定着フェーズに入った。現在までに大小の専門企業の他、アパレルメーカーや百貨店も参入するなど、「売らないアパレル」をめぐる攻防が熾烈になりつつある。

     好みの洋服は、渋谷や原宿など流行最先端エリアのブランド店舗で購入するーー。 それが、おしゃれを追求する者にとっての喜びであり、価値だった。ところが、ユニクロの普及で、安くて高品質な洋服をどこでも買えるようになると、その役割は徐々に変質する。つまり、清潔感があって、見栄えさえ良ければ、過度にデザインやブランドにはこだわらないという考え方へのシフトだ。

     加えてZOZOTOWNによってお気に入りの洋服をネットで買うことが当たり前になると、「ブランド」の価値はさらに落ちる。お客はネット上で似寄りの商品を探し、比較し、いかに便利に買えるか、いかにリーズナブルかで購買を決める。景気の閉そく感も相まって、そもそもファッションにお金をかけることの意義を考え始めるようになる。

     そうしたファッション業界の流れの中で、2014年に登場したのがエアークローゼットだ。できるだけコストをかけず、一方でいろいろな洋服を試してみたい。潜在的に高まっていた消費者の洋服に対する新たな需要にマッチした同サービスは、爆発力こそなかったが徐々に浸透。いまや会員数は50万人に迫る勢いでファッションサブスクのパイオニアとして一定のポジションを確立しつつある。

     着々と社会に浸透しつつあるが、課題はある。基本、毎月回収し、クリーニングして再利用するため、気になる消費者にとってはやはり敬遠する要因になるということ。事前に好みを聞いた上でコーディネイトするが、相性がよくない可能性があることなどだ。逆にいえば、こうしたすき間を埋めることが、後発のアパレルサブスク参入企業の狙い目にもなる。

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