ZホールディングスとLINEの経営統合ついに完了! 経営トップが語る今後の戦略と方針
質疑応答①「グループの総合力」でGAFA&BATに対峙する
--一昨年の経営統合の記者会見の際、GAFAや中国のBATなど巨大IT企業が接近していることへの懸念を示していた。コロナ禍の状況も踏まえて、どのように存在感を示していく考えか。
川邊 この1年、ヤフーもLINEも、それぞれのユーザーのために様々なサービスを展開してきた。そのなかで、日本においては我々のサービスの方が使われたり、日本に根差したやり方で支持されていると感じている部分もある。例えば、給付金のもらい方など、グーグルの検索結果よりもヤフーの方がわかりやすいといった声もある。
今後、重要なのは2つ。一つはローカルに根差した対応力をより高めていくこと。もう1つはGAFAやBATよりも優れているのは、検索、EC、決済など、グループの守備範囲の広さだと感じている。グループの総合力を生かしていきたいと考えている。
出澤 統合発表から1年4ヶ月、コロナもありいろいろなことがあった。ユーザー視点だと、どこの会社が提供しているかというのは関係なく、便利であるかどうかが全てだと思っている。日本のユーザー、アジアのユーザーの不便に感じている点に真剣に向き合っていく。
—―ヤフーとLINEそれぞれの企業カルチャーをどう融合していくか。
出澤 志や競合の環境という意味ではヤフーとLINEは非常に似通っている部分が多いと感じている。一方で、細かいアプローチの部分については、良い意味で差異があると感じている。良いプロダクトを作っていく中で、そういったカルチャーの差異を生かして化学変化を起こし、新しい文化を作っていければなと思っている。
川邊 お互いに良い文化を持っている。尊重し合い、相互に理解した上でお互い良いものを取り入れて融合していく。19年にZOZOを買収したが、ZOZOにも良いカルチャーがあり、その時も良い化学変化があった。そういったことがLINEとの間でも起こることを期待している。
—―海外戦略について、サービスを融合・統合させたいわゆる「スーパーアプリ」化でアジアなどに出ていく考えはあるか。
川邊 まず「ヤフー」については、米ベライゾン社から提供されているライセンスは日本限定のもの。そのため海外に出ていく予定はない。ただしLINEについては、どんどん海外で身近なサービスをスーパーアプリ化していくことについては投資をしていきたいと考えている。
出澤 海外には海外のニーズがある。日本でうまくいっていることがそのまま展開できるわけではない。ただし、日本・海外それぞれの良いところを取り込むという側面では、今までよりも早く取り組めるようになると思う。海外展開はこれまで以上に加速していきたい。
—―AI人材を5000人採用とのことだが、新卒採用の内訳などに変更はあるか。
川邊 ソフトウェアエンジニア、データサイエンティストの採用を重要視している。中途採用でも世界からどんどん人材を招き入れたい。日本においては各大学の修士・博士といった方々を多く招き入れたいと考えている。22年度からは新卒採用も倍増させていきたい。