ZホールディングスとLINEの経営統合ついに完了! 経営トップが語る今後の戦略と方針

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質疑応答その④フィンテック領域は2社での「総リーチ面積」を重視

—―GAFA、BATに対抗するにあたってエンジニアの確保以外の課題は。

川邊 資金力だ。海外プラットフォーマーは研究開発費が一桁違う。そういったものをいかに捻出していくかが課題なのかなと感じている。

—―フィンテックの領域での競合状況と今後について。

川邊 フィンテックに関しては重要なポイントが2つある。1つは、「ネット屋がやる金融事業」であるということ。もう1つは、PayPayの上ではマルチパートナー制でやっていくこと。どの金融事業者でもPayPayや「LINEウォレット」の上で事業を展開していける、一緒にやっていくことができる。ネット屋が金融事業をやることは国内ではあまり事例がないと思う。まずはそういった先行するユーザー体験を作り上げている会社を超えていきたい。
 LINEとヤフーそれぞれにパートナー企業がいる中では、ユーザーに対しての総リーチ面積が重要だと考えている。それぞれのサービスが存在していることで、ZHDとしてシェアが大きくなるということもある。

出澤 「PayPay証券」と「LINE証券」もユーザー属性が違う。銀行サービスも同様に属性は異なる。ユーザーからみて何が便利なのか、最大リーチをどうやって獲得するかという視点で棲み分けができると考えている。

—―人事制度について。2社合わせて連結で2万人を超える従業員数になる。現場レベルの人員の融合についてはどのように進めていくか。

川邊 ヤフーとLINEに関しては、人事制度についても共通化していきたいと考えている。採用に関しては窓口を一本化していく。ただし、急いでやりすぎると今までの働き方が変わってしまいかえって負担になる。時間をかけて共通化できるところはしっかりしていく。KPI(重要業績評価指標)としてはジョブ型、成果型を重視する。

出澤 従業員同士の連携については、重要事業のいくつかについては既にそれぞれのメンバーが合流して進めている。関連事業ごとに協業の場は増えていく。スタートの手応えとしてはうまく立ち上がっているのではないかと感じている。

—―スーパーアプリ化を志向する中で、中国の「WeChat」のような方向性を目指すのか。

出澤 スーパーアプリはLINE、ヤフーどちらの戦略でもある。単純にWeChatのようなものではなく、日本の事情に合わせて独自の進化をしていくと思う。

 ヤフーもLINEも、「利便性の追求」から始まっている。スーパーアプリは新生ZHDでもメーンの戦略になると思う。それぞれのサービスを自然な形でつなぎ合わせ、ユーザーにとってなくてはならない価値を提供できるものにしていきたい。

川邊 スーパーアプリは、生活に身近な異なるジャンルのサービスが、一つのアプリでシームレスに使えることだと理解している。ヤフー、LINE、PayPay、それぞれがスーパーアプリに発展していく可能性があると考えている。

 ただし、LINEはコミュニケーションツールというのがベースにあるため、そういった面を重視したスーパーアプリになるだおる。一方でPayPayは決済関連、ヤフーは情報取得と、それぞれ特化した形になっていくと思う。もともとあるサービスの特性を生かしながら、無理のない形で発展させていく。このように、3つものスーパーアプリ化にチャレンジができるのはZHDだけであり、強い信念を持って進めていきたい。

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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