説明下手な人の方がなぜか売れる?ライブコマースに必要な「不完全さ」とは

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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ライブコマースには不完全さが必要

 そんなライブコマースは、商品とエンタメを組み合わせたコンテンツであり、エンタメは基本的に人間を軸にしてきました。例えば従来のブログを見ても、ブログ記事の品質よりも、その記事を誰が書いているかによって納得感や楽しさがあるなど、やはりコンテンツには人の存在が重要です。同様に、ライブコマースは基本的には人が配信するため、人への興味やフォロー、いいねがついて回ります。この人間の要素が非常に重要であり、逆に言うと必ずしも資本力のあるプレイヤーが勝つわけではない分野と言えるでしょう。

 さらにライブコマースでは、話すことが上手いだけの人ではあまり売上に繋がらない傾向にあります。むしろ、説明が上手くないか不器用な人の方が実は売れている傾向にあります。これはなぜかというと、見る側に『応援したい』という気持ちがあるためです。話が上手い人ほど説明が完璧なので、この応援したいという気持ちが起こりにくいのです。

 例えばInstagramやYouTubeはかなり成熟してきており、プロ同士が戦う完成されたコンテンツとしてクオリティが高くなってきていますが、ライブコマースをうまく活用するためにはあまり完成度を高めてはいけないのです。台本や構成を作り過ぎると、それを読んでいる感じが視聴者に伝わりLIVE感が損なわれて引いてしまいます。むしろ、言葉に詰まったり不完全な方が良いという人間の心理が働いているのです。

 ライブコマースの醍醐味は、リアルタイムでの掛け合いやコメントのやり取りなので、感情移入した方がより強く結果に反映されます。特に企業はブランドイメージのために完璧を求めてしまいがちですが、応援の余地を残しライブ感を演出する不完全さがライブコマースには必要だということを意識してみると良いでしょう。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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