アフターコロナのアパレル業界はこうなる 世界一のユニクロに待ち受ける試練
ZARAなどを展開するインディテックスを抑え、ファーストリテイリングが時価総額でアパレル業界1位となった。国内アパレル業界をみてみれば、なぜこれほどまでに「ユニクロとその他」に絶望的な差が生まれたのだろうか。その本質的な理由を解説するとともに、ファーストリテイリングを待ち受ける試練、そして苦境が続く百貨店の先行きについて論考を重ねたい。
![「ユニクロとその他」になぜ、これほどの差が生まれたのか](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2021/02/15a16fc313e6554527f6a2cb596bb8aa.jpg)
「ユニクロとその他」にこれほどの差が生まれた本質的な理由
「河合拓のアパレル改造論」も3年目に突入した。当初、月1回程度で書き進めようとしていたが、激変する業界動向により、多くの読者からの要望もあって毎週ペースとなり、内容もまた可能な限り原理原則と思っていたが、これまた、時事問題に関する分析が半分を占めるほどになった。
その間、私の書籍、そして、この論考に対するご批判なども受けたが、ネット匿名による建設的なご指摘もあれば、中には「読む価値はない」「本物のコンサルでない」「データの裏打ちがない」など、建設的とは思えぬ集団攻撃も受けてきたが、私は常に「建設的なディベートであればいつでも歓迎する」と、門戸を開いてきた。しかし、さらに議論を前に進めようとしても無反応。社会問題になっているネットによる匿名性の正義についての議論も考えざるを得ないと感じるときもあった。
なぜ、このような話を2021年度の冒頭に持ってくるのか。その真意を述べさせて頂ければ、まさに、このような「仲間同士の差し合い」が無いことが、この業界を沈滞させてきた元凶だと私は考えているからだ。ユニクロ世界一、個人の隆盛(D2C)、金融主導の再編など、私が3年前に予言したもののほとんどが的中している事実を、なぜ真摯に受け入れないのか。そこには、既得権益が存在し産業界を硬直化させている。ビジネスマン人生も終焉を迎える年齢になって、私のミッションは業界の恥部にメスを入れることだった。
いわゆる忖度と政治の温床となってきた業界構造こそが、「ユニクロとその他」にこれほどの差を生み出したのではないかと思うからだ。
ここで、私がこの連載の第一話で書いた文章を再掲載し私の立場をもう一度再掲載したい。
河合拓のアパレル改造論2019第一話 (2019年某日)
「私自身の経歴を申し上げると、繊維・アパレル系商社で9年実務をやり、その後、20年経営コンサルティングをやってきた。
-以下省略-
そのような背景から、私が持っている情報やデータは業界全体を俯瞰したものでなく、特定企業の非公開情報が原則で、次週以降の内容も私の体験をベースにしたものばかりで、実データとなる根拠は原則的に開示ができない。したがって、本連載は産業論としては不十分であること、かつ、時に分かりやすくするため、あえて単純化していることはご容赦頂きたい。しかし、企業改革の最前線にいる身として、多くの企業経営者とのディスカッションを通して得た、私なりのビジョンや方向性を提示することで、各社が建設的な議論を行うそのネタとなればという思いで連載を引き受けた」
アパレル業界は後述する集団いじめに遭い、いずれ大失業時代が訪れる。私を快くないと思う人は戦う相手を間違えず、ともに業界発展のために最後の業界変革のチャンスをものにしていこうではないか、という宣言とともに「河合拓のアパレル改造論2021」を再スタートしたい。
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