さらなるマスメリット創出へ!アクシアル原和彦社長が語る、新体制のねらい

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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市場占有率1280

大型M&A(合併・買収)を経て成長してきたリージョナルの雄、アクシアル リテイリング(新潟県:以下、アクシアル)。同社は競争が激化するなかでも、地域シェアを拡大させることに成功している。アクシアル発足から10年の節目に、その具体的な要因や今後のビジョンを同社の原和彦社長に聞いた。

企業規模拡大をめざし3つの機能と人材を強化

──食品スーパー(SM)を取り巻く事業環境をどのようにみていますか。

アクシアル リテイリング代表取締役社長CEO 原和彦氏
原和彦(はら・かずひこ)
1967年生まれ。89年、日本大学農獣医学部卒業、西友フーズ入社。94年、原信入社。2000年常務取締役。07年原信ナルスホールディングス専務取締役。08年原信ナルスホールディングス(現アクシアル リテイリング)代表取締役社長。13年10月から現職

原 2000年代からの20年でみると、少子高齢化や労働力人口の減少、インターネットの普及などによって、お客さまのニーズが変化してきました。高齢化に伴う健康志向や、女性の就業率の上昇によって簡便ニーズなどが高まっています。

 食品を扱うドラッグストアや、ディスカウントストアも増え、業態はますますボーダレス化しています。これらの業態のコスト構造はSMとは異なるため、価格だけでは太刀打ちしづらい面があります。もちろんSMもふだん使いの商品を手頃な価格で提供する努力は必要ですが、価格対応だけでも勝ち残れません。

──アクシアルはこの20年、顧客ニーズの変化に適切に対応しながら、企業としての総合力を着実につけてきました。

原 23年4月にリニューアルした「原信紫竹山店」(新潟県新潟市)は、04年の開業から約20年で商圏内に11店もの競合店が出店した激戦区にもかかわらず、売上高を伸ばし続けています。これは、地域内での市場占有率が高まっていることを意味します。

 地域シェアを高められている要因には、当社が「規模」「機能」「人材」を重視してきたことがあると考えています。

 当社は「お客さまに豊かさ、楽しさ、便利さを商品やサービスを通じて届ける」ことを理念に掲げています。この実現には企業規模を拡大し、チェーンストアとしてマスメリットを創出することが必要です。そのために「物流」「製造拠点」「IT」など店舗を支える機能を整備するとともに、これをつくり込める人材育成を追求してきました。

マネジメントシステムで売上、収益性を高め続ける

──時代のニーズに対応し、商品政策(MD)も進化させてきました。

原 02年頃から新潟県では大手流通小売業の積極進出による「新潟戦争」が発生しました。当時は売場に十分な競争力がなく、競合店に手厳しくやられた痛い経験があります。そこから打ち出したのが、現在のMDの原点である「ニューコンセプト」です。

 MDでコンスタントにヒット商品を生み出し続けるためには、

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

構成

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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