流通再編の衝動その4 “地方豪族”が結集、その意味するところとは?

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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総合商社による食品スーパー再編はあり得るか

 イオン、セブン&アイに続く第三の勢力として新日本スーパーマーケット同盟が名乗りをあげた食品スーパー業界だが、ほかにも無視できない勢力がある。総合商社だ。

 流通業と総合商社は縁が深い。代表的な例でいえば、三菱商事と三井物産がかねてよりアークスに対してそれぞれ人材を派遣している。アークスにとっては世界にネットワークを持つ商社のリソースを活用できるのは大きなメリットになる。グループに卸やメーカーを抱える総合商社側からすれば、大手食品スーパーと関係を構築しておかなければ、今後の動向いかんによっては商権を失いかねない。

 三菱商事は三菱食品、三井物産は三井食品をそれぞれ傘下に抱えている。しかも三菱商事は食品スーパー最大手のライフコーポレーション(東京都)の大株主であり、オーケー(東京都)とも資本提携している。コンビニのような、商社主導による食品スーパーの大再編がこの先ないとも限らない。

 もう1つ注目すべきなのが食品スーパー出身ではない企業による再編の動きだ。流通業界ではパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都)のドン・キホーテ(東京都)がじわじわと勢力を拡大している。総合スーパーのユニー(愛知県)を傘下に入れたことで、19年6月期の売上高は1兆3300億円を見込んでおり、これは、前出のアークスなど3社合計の売上高に匹敵する規模である。ある経営コンサルタントは「ドンキは生鮮食品も扱う。業態が違うからといって食品スーパーは無視できない存在だ」と話す。

 食品スーパーの再編圧力は今後いっそう高まると見て間違いない。今後、流通再編の主役となるのはイオンか、セブン&アイか、新日本スーパーマーケット同盟か、はたまた別の企業連合か。再編のうねりはますます大きくなりそうだ。

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