流通再編の衝動その8 孤高デイリーヤマザキに再編の風は吹くか

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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コンビニエンスストアの再編はこの先、無風状態が続く可能性が高い。再編が注目されている中堅コンビニのうち、大手色に染まっていないチェーンとしては「デイリーヤマザキ」「セイコーマート」がある。ただし「セイコーマート」(企業名:セコマ)は直営・非24時間営業、製造小売という独自のビジネスモデルで我が道を行く。他方、デイリーヤマザキはコンビニと全方位で取引する山崎製パン(東京都)が運営母体だが、再編に向かう可能性はあるのだろうかーー。

なぜ、デイリーヤマザキは再編の対象とならないのか

 現在、中堅コンビニは業界3位のローソンに次ぐ売上規模を持つイオングループのミニストップ(千葉県)以下、スリーエフ(神奈川県)、ポプラ(広島県)、セーブオン(群馬県)などがあるが、いずれも上位3社との規模の差は歴然とし、大手と提携したり、協業したりしている。

 こうした状況下、大手色に染まってないコンビニチェーンとして注目されるのが、製パン業界のガリバーである山崎製パンが展開する「デイリーヤマザキ」、北海道が地盤のセコマが運営する「セイコーマート」である。一見すると、いずれこの2社は大手との関係性を構築するものと思われがちだが、デイリーヤマザキ、セコマともに再編に向かう観測はまったくといっていいほど流れていない。「セコマ」はすでに冒頭で述べた通りで、デイリーヤマザキにも固有の事情があるからだ。

 デイリーヤマザキの店舗数は1454店舗(2019年6月末時点)。店舗数だけみると、大手によるM&A(合併・買収)のターゲットになってもおかしくない。なぜ、デイリーヤマザキは再編の対象とならないのか。それは、運営会社である山崎製パンが抱える、ある事情に起因する。

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“全方位”の山崎製パンが抱える憂鬱

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