行列が絶えない名店・大塚「ぼんご」が認めた味と技術、「おにぎりこんが」の強さとは?

小内 三奈
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多店舗展開を見据え、セントラルキッチンで仕込みを効率化

おにぎりこんが代表の合田氏
「おにぎり こんが」の代表を務めるFBIインターナショナル代表 合田 正伸氏

 合田氏は、前職で飲食店のプロデュースや有名店とのコラボ企画などを行っていた。大塚ぼんごの存在をまったく知らなかったという合田氏は、仕事でぼんごの女将・右近氏とはじめて出会ってときに感動し、その翌日には会社を辞め、ぼんごへの弟子入りを志願したのだという。

 「最初に話を聞いたときにその人柄や人間力、想いに感動して、右近さんの理想に近づきたいという想いに掻き立てられた。今飛び込まなければ一生後悔すると思った」

 約1年の修行期間は、これまでの生活とは一変してひたすら下働きの日々。「実際におにぎりを握らせてもらったのは最後の1カ月くらいだったはず」と振り返る。

 その後、“大塚ぼんご監修”という形で、ぼんごに唯一認定されたおにぎり店として蒲田に「おにぎりこんが」を立ち上げたのが2022年11月だ。

 「ぼんごがある大塚と同じような雰囲気、条件の土地で『おにぎりこんが』をオープンさせたいと考えた。住宅街でありながらオフィスも立ち並び、大学が近くにあり学生も多い点は、大塚と蒲田の共通点だった」

 1号店では、合田氏自身が仕込みから握るところまですべてを担当し、大塚ぼんごから受け継いだ味を蒲田の町の人たちに伝えた。ただ、おにぎりを食べて笑顔になる人を増やすには、もっとこんがのおにぎりを食べられる場所を増やしていく必要がある。そこで、多店舗展開を視野に動き始めた。

 「正社員を雇い、マニュアルに基づいて具材の仕込みはすべてセントラルキッチンで一手に行って、仕込み済みのものを店舗に配送する体制を整えた。コロナ禍で客足が大きく伸びない時期も、作業工程を一つひとつ見直して改善につなげてきた」

「大塚ぼんご」の味と技術を引き継ぎ、「こんが」らしさを追求しながら店舗拡大

 2号店をオープンさせるタイミングで、初出店の蒲田で掲げてきた“大塚ぼんご監修”という看板を外し、ぼんごの味と技術、魅力はそのまま引き継ぎ、「おにぎりこんが」独自のスタイルで店舗を広げていくことが決まった。

 正社員の採用、アルバイトを含めた従業員の育成を進め、2023年3月に赤坂に2号店、4月に羽田空港国際線ターミナルに3号店をオープンさせた。現在では社員11人、アルバイトを含めると80人の従業員を抱えるまでに成長している。

「羽田空港店は、これから海外に向かおうとする空港利用者ということもあって、最も販売個数が多く、1日に約2,000個を販売する。赤坂の1日の販売数は約1,500個、蒲田は約1,000個弱で、3店舗で合わせて4,000~5,000個のおにぎりを、基本的に注文が入ってから一個一個握っている」

 客単価は、赤坂が900円、蒲田が1,000円、羽田が1,500円と、こちらも羽田が他を牽引する形だ。

 「コロナ禍で撤退したテナントが多く、ありがたいことに羽田空港国際線ターミナルから声がかかって出店できたのは大きい。国際線ターミナルに入るテナントで過去最高の売上を記録したのが、実はこんが。わずか8坪で叩き出した売上日報を見て、空港担当者から『2日間分まとめて送られてきていると思うんですが』と問い合わせが入ったほどの売上高だった」

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