物流2024年問題へのアプローチ、先進するハローズ、ウオロク、バローの取り組みを紹介
物流改革で在庫削減と積載率改善を実現(ウオロク)
ウオロクは新潟県に44店舗を展開。17年から需要予測型自動発注「sinops」を導入、現在、「店舗配送改革」を進めてきている。
業務改革部次長の八百板悟氏は「需要予測を活用した改革のあゆみ~物流2024年問題に向けて~」とする講演の中で同社の取り組み効果について語っている。
これまで同社の店舗配送は、生鮮の低温便が、前日12時発注締めで、6時、9時、13時の3便、グロサリー関係の常温便は当日12時締めで、16時便(19時便もあり)の体制だったが、低温2便・3便の積載率改善、常温4便のトラック運行便数の削減が課題になっていた。
「需要予測に基づいて常温品の発注リードタイムを「0日(当日)」から「1日」へ延ばせば、解決できる可能性がある」と考え、4便(常温商品)を、低温2便・3便のすき間へ混載するトライアルを進めてきた。
その結果、約10台/週・全店の車両削減(年間では500台の換算)につながり、2便、3便の積載率も改善した(2便が80%から95%、3便が60%から85%)。売場でも、常温品の店着時間が早まった分、日中の作業人員の有効活用につながっている。
同社ではさらなる改革として、DeCMPFを活用した卸在庫圧縮の実証実験に取り組んでいる。
シノプスと伊藤忠商事が開発した卸在庫が最適となる発注勧告値の算出を行うDeCM-Wによる確度の高い需要予測を用いて欠品を極小化しつつ回すという。このシステムで日本アクセスを対象に、23年3月からメーカー3社での実証実験を開始、納品充足率99.3%の高水準を維持しながら最大で8日間の在庫日数削減効果を、また23年9月以降はメーカー12社を追加し、全体で23%の在庫数削減効果をあげることができたという。
また、三菱食品との間でもDeCM-Wの導入が決まっている。
「SCM」から「DCM」へ在庫コントロールに注力(バローHD)
バローグループは、調達・製造、物流・加工(物流センター17拠点、加工工場11拠点)、小売・サービス(28社、約1300店舗)を展開している。今、販売起点からいろんな物事を設計し直し、流通小売業として、メーカー・卸の調達能力、商品開発力、情報収集力をセットしたモデルの確立をめざしている。
なかでも物流がキーになるべきだと考えており、バローホールディングス取締役社長 流通技術本部長の小池孝幸氏は「われわれの業界(流通小売)の現在の状況に限れば、小売主体でやるべき。物流はSCM(サプライチェーンマネジメント)よりDCM(デマンドチェーンマネジメント)、川下の小売が動かないと改革はできない」と語っている。
バローグループで大事にしている点として、需要予測や受発注における情報の同期性、小売・卸・メーカーが互いの資産(物流センターや配送網)の意義を検証することがある。
これらに関する直近での取り組みに、カテゴリー別フロントセンターの立ち上げ、グループ汎用物流、さらには、他社のものもいっしょに運べるようにしようという動きも始まっている。
同グループでは24年4月から中期計画が始動する。そのなかで在庫コントロールをメーンに据えており、その橋渡し役として、メーカー、卸、小売をつなぐDeCM-PFを活用していくという。
あるSM店舗において、トライアル的に在庫コントロールによる在庫削減を行っているが、在庫が17.3%減少し、売上が12.3%、粗利が1.1%増加するなど、生産性に関する指標すべてにおいて改善効果が確認できている。
また、DeCM-PFの取組としては、特売期間における需要波動抑制による物流改善にも着手。発注リードタイムの長期化(1週間前から2週間前へ)、納入数量の自動算出、三者間での情報連携など、DeCM-PF活用による実証実験を、23年9月からエンド企画、11月からはチラシ特売で取り組んでいる。
グループ内では、特売発注業務の効率化、バイヤーの生産性向上など、またメーカーにおいても、余剰在庫の削減、トラックの緊急手配の削減といった効果が出ており、今後、実証実験の対象特売企画を拡大し、24年4月から本格展開を予定している。
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