ウォルマートにターゲット…米小売がリテールメディアに力を入れる本当の理由

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日本で「リテールメディア」という言葉が注目されるようになる何年も前から、流通先進国の米国では小売業が広告ビジネスを展開しており、アマゾンやウォルマート(Walmart)といった先行企業はすでに莫大な規模の売上高を手にしている。米大手小売がこぞって広告ビジネスに参入する理由は何か。米国在住30年の流通コンサルタントの鈴木敏仁氏が、米リテーラーによる広告ビジネスの最新事情を解説する。

広告サービスがAWSに次ぐ新たな柱に

 ジェフ・ベゾスが決算書の株主宛メッセージで、プライムメンバーシップ、マーケットプレイス、AWSの3つがビジネスの柱だと書いたのは2016年のことである。各事業の年商がそれぞれ100億ドル(1兆4000億円:1ドル=140円で換算、以下同)を超えているからなのであった。

 2021年度の決算でAWSは622億ドル(8兆7080億円)に達しているのだが、営業利益率が30%ときわめて高く、利益だけを見るならば柱を超えて“大黒柱”といってよい存在となっている。将来を見据えた投資を継続できるバックボーンである。

 このメッセージでベゾスは次の柱を探していると公言していたのだが、年商100億ドルを超える新たな柱として育ったのが広告サービスである。決算書上は「その他」のくくりだったものが19年から独立事業として記載され始めている。

 昨年度の広告サービスの年商は312億ドル(4兆3680億円)で、前年比の伸び率は58%を記録、日本円で4兆円規模の事業が50%以上の勢いで伸びていると理解するとその破壊力がわかるというものだ。

 アマゾンが

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記事執筆者

在米40年、現在はロサンゼルス在住。小売業界ジャーナリスト。年間訪問店数はのべ600店舗超、現場検証に基づいた分析をモットーとする。

著書

『ソリューションを売れ!』(ニューフォーマット研究所)
『誰も書かなかったウォルマートの流通革命』(商業界)
『アマゾンVSウォルマート ネットの巨人とリアルの王者が描く小売の未来』(ダイヤモンド社)

 

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