北米で日本食市場が拡大 日本企業の成長機会と深刻な課題とは

松本 渉(ローランド・ベルガー パートナー)
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iStock/FG Trade

消費多様化を背景に拡大続く日本食市場

 本連載ではこれまで、日本の消費者がコロナ禍以降、多様化・多極化を加速させていること、それに伴い日本の小売業に大きな機会と脅威が生じていることについて何度か言及してきた。実はこのような消費者の多様化・多極化の進行は日本だけに見られる事象ではない。海外市場においても近年、加速の一途をたどっている。

 たとえば北米をはじめとして、世界各国で日本食関連市場が拡大していることは周知のとおりである。実際、コメなどの素材となる食品から、寿司などの調理食品まで、幅広いカテゴリーで需要が増加している。その背景にはやはり、各国消費者の「多様化」があるのだ。

 そして、その事象に対する理解を深めることは、日本企業が国外で成長機会を求めるうえで欠かせない。筆者も、外食企業や小売企業、商社などさまざまな業種の関係者から、海外での日本食関連市場の動向について相談を受ける機会が増えている。

 そこで今回は、北米を例にとり、日本食関連市場の直近の動向について詳しく解説していきたい。

これまで以上に「寿司」の裾野広がる

 近年、北米の消費者の食生活・食習慣は急激に多様化している。とくに健康志向や環境に対する意識の高まりが顕著であるほか、コロナ禍を経てライフスタイルを見直す消費者も多い。

 そうしたなかで主要なタンパク源を肉から魚にシフトする動きや、主食を植物性食品に切り替えるベジタリアンやヴィーガン人口の増加、グルテンフリー食品への需要拡大などがとくに目立っている。

 そんな状況下で、ヘルシーなイメージの強い日本食には、

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