東急グループのPASMO、カードサービス戦略

2012/01/19 18:54

東京急行電鉄情報・コミュニケーション事業部事業推進部課長 土屋 智永氏

 東急グループは1984年からハウスカードとして「TOP」の発行を行ってきた。これが今に続くカード戦略の発端となったが、東急ストアなどでの割引が目玉になり一定の役割は持っていたものの所有者の属性に偏りがあり、またグループ各社がFSP施策で独自にポイントサービスを始めるなど利用者にとって煩雑にもなってきた。そこでPASMO時代の到来を契機にグループ戦略を統一することとし、2006年4月から「TOP&」カードへの統合を進め、1年をかけて基盤整備を進めた。統合によりポイントは相互利用を可能としポイント交換などもできるようになった。TOP&では1ポイントからの使いやすさとオープンな発想によりメインカード化を狙ってきた。これによりグループ外からの流入効果、鉄道・バスの利用促進、効果的な情報発信による販促支援、グループ顧客管理、マーケティングツールの統合によるコストシェアなどの効果を期待している。すでに会員数は282万人、加盟店数は1370店ほどになっている。


 PASMOは10月末の段階で流通枚数1057万枚、オートチャージも会員数66万人となった。5月PASMO及び相互利用できるSuicaは、東急沿線において、電車での利用98%、バス46%、物販決済36%と非常に普及している。そしてPASMOの利用による生活の変化も、電車をよく利用するようになった10%、バスをよく利用するようになった6%、電子マネーをよく利用するようになった16%という導入効果が見られた。意外だったのは需要変動が本来少ない当社の電車やバスの利用に対して促進効果があったことだ。


 東急が独自に行っているサービスとして、主要駅にポイントチャージ機を置き、TOKYUポイント1000ポイントをPASMOのSF1000円分としてチャージできるようにした。これについては、設置駅をもう少し増やしていく考えだ。


 PASMOとSuicaは合わせて3400万枚を突破し電子マネーとして大きな強みをもっている。両者合わせた利用件数も10月の段階で月間約3500万件に達している。首都圏という限られたエリアだがメジャーな電子マネーに成長したと言えるだろう。加盟店のデータをみると自販機での利用は30-50%超であり、しかもその半分は純増分となっている。また構内売店の利用では電子マネー利用のほうが、購入単価があがる傾向も見られる。クレジット決済以上に、デシル1ユーザーによる利用がまだ高く伸びしろは大きいと言える。


 今後の展開のひとつは、駅構内に留まらない「街ナカ」への拡がりだ。加盟店は約1900店舗で、今では1日10万件以上の電子マネー決済が行われている。自販機は駅周辺のオフィスビルへも展開しており、グループ系の商業施設、一部を除きam/pmの首都圏全店舗への展開、目黒区の商店街との連携などグループにとどまない加盟店展開も行っている。そして自販機やam/pmでの月間利用額に応じて200円に1ポイントの割合でTOKYUポイントを付与するサービスも2007年12月から開始している。これはTOP&会員に限定されたサービスだが、月間累計で計算するので小額決済でもポイントが溜まる点が好評で、これまで利用が少ない40代以上の男女の伸びが顕著で一定の消費誘導効果が見られた。


 また、オートチャージの利便性から会員1人あたりのオートチャージ利用額も増大し、同一会員のクレジット利用額の伸びも見られたことで、利用頻度の低かった会員のメインカード化が図れたと評価している。さらにTOP&とPASMOのコラボレーションで、東急の電車、バスに乗り加盟店でTOKYU&クレジット1000円以上を同一日に利用することでTOKYUポイント50ポイントを付与するサービスも4月から始めた。これにより環境負荷が小さい公共交通機関を利用して加盟店への誘導効果も高まっている。

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