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味を「数値化」しておいしさを訴求する平和堂の精肉改革

取材・文:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)の精肉部門は、子育て層の支持獲得に注力する。値ごろな国産品を導入するほか、ローストビーフなど、若い世代の需要に応える商品で集客を図る。

一方、プライベートブランド(PB)の品質向上やプロセスセンター(PC)を活用した部門の運営効率化などで持続的な成長をめざす。

価格訴求で売上は堅調に推移

 平和堂は近畿、東海、北陸エリアで総合スーパー(GMS)と食品スーパー(SM)を展開する流通企業だ。GMSの「アル・プラザ」、SMの「フレンドマート」という主力2業態によりドミナントエリアを構築しており、多くの店がある本拠の滋賀県では強い支持を得ている。

 しかし近年は、平和堂の商勢圏各地で競争が激化している。東海エリアと北陸エリアでは、価格訴求を徹底するディスカウントストア(DS)や生鮮食品を積極的に扱うドラッグストア(DgS)が台頭。同社の主力となる関西エリアでも、新規参入企業を含め、有力店が急激に増えている。

 こうした状況下、平和堂は40代以下の子育て世代からの支持獲得をめざす。DSやDgSがこの世代から大きな支持を得ているが、平和堂では取り込み切れていない客層だ。

 同社は、第5次中期経営計画 (24~26年度)でも「子育て世代へのニーズ対応」を重点戦略の1つに掲げており、40代以下の子育て世代からの支持を得ることで急変する商勢圏での競争力を強化するねらいだ。

 その施策のカギを握る部門の1つが精肉だ。平和堂精肉課課長の西川隆久氏は、「当社のお客さまは50~60代以上の年齢層が中心。一方で精肉部門は、以前から若年層の利用が多い。

 そのため、精肉部門で若年層の獲得に向けた取り組みをより強化することは、食品全体に大きな集客効果をもたらすことにつながる」と分析する。

あじわい牛
平和堂が力を入れるのが、オリジナルの各種銘柄肉。牛肉は生産者と連携した「あじわい牛」が看板商品となっている

 こうした考えのもと、平和堂の精肉部門では24年3月から、100g税抜198円の「国産豚肉バラ肉」、同118円の「国産若鶏モモ正肉」などの値ごろな頻度品を積極的に販売。

 展開するエリアを段階的に広げ、同年9月には全店での導入を完了した。これらの頻度品には「店長厳選得価」と記した目立つプライスカードを添え、「競合店に負けない価格」として訴求する。

 平和堂が低価格を粘り強く訴求してきたことで、お客の同社に対する印象は変わりつつある。実際、

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取材・文

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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