激戦を 独り勝ち できる“”DSモデル開発めざすイオン九州のザ・ビッグとは
イオン九州(福岡県/中川伊正社長)は、総合スーパー(GMS)「イオン」、食品スーパー(SM)「マックスバリュ」を主力業態としながら、2010年以降、ディスカウントストア(DS)業態「ザ・ビッグ」の展開も進めてきた。全国的に見ても価格軸の競争がとくに熾烈な九州において、他を圧倒する安さはDSとして大前提。それに加えてどのような施策で差別化を図っているのか。最新店舗での取り組みをもとに、同事業の戦略を解剖する。
価格プラスアルファの独自性を模索
イオン九州における「ザ・ビッグ」の位置づけについて、新業態事業部ビッグ事業部事業部長の池﨑明人氏は次のように説明する。「これまでは不採算店舗の再生を企図した、業態転換による出店がほとんどだった。しかし足元ではDS事業単体での収益性にもめどがつき、新規出店を含めさらなる成長に舵を切るフェーズに入っている」。
イオン九州ではDS事業単体の業績は公表していないが、昨今のインフレに伴う消費者の価格感度の高まりを追い風に、好調に推移している。とくにコロナ禍以降は来店頻度が高まり、客数の伸長が顕著にみられるという。

好調の波に乗るなか、ザ・ビッグ事業で目下重視しているのが、独自性の追求だ。「原材料が高騰するなか、現実的に今以上の価格努力は難しい。価格プラスアルファの、ザ・ビッグならではの独自性を確立する必要がある」と池﨑氏は力を込める。
とはいえ、価格が競合に対する最大の差別化要素であることに疑いの余地はない。イオン九州でも個店ごとに競合店の価格調査を常に行い、「競合店と同一・もしくはそれを下回る価格設定」を基本とする。
とくに豆腐やパンなどの頻度品は競合の価格を徹底的に追うことで、「ザ・ビッグは安い」というイメージを醸成することを強く意識しているという。
そのうえで商品政策(MD)の柱とするのが、「価値ある商品をより安く」という方向性だ。
イオングループのプライベートブランド(PB)「トップバリュ」「トップバリュベストプライス」のほか、「ザ・ビッグ」の屋号を掲げる店舗※のみでカテゴリーごとに展開するPB、さらにイオン九州の「ザ・ビッグ」で扱うストアブランドの商品を販売。加えて九州の銘柄肉や地魚などローカライズしたMDも導入し、他のDSとは一線を画した独自性を追求している。
こうした施策を実現・継続するため、イオン九州では「ザ・ビッグ」専属のバイヤーを数名配置。生鮮食品を中心に、地域特性や店舗の立地に合わせたMDを策定している。「商品調達に関しては、統合前の旧イオン九州、旧マックスバリュ九州それぞれの仕入れルートや取引先さまとの関係性が、ザ・ビッグ事業にも有効に働いている」と池﨑氏は言う。
※イオングループではイオン九州のほか、イオンビッグ(愛知県)、イオン北海道(北海道)が「ザ・ビッグ」の屋号でDS業態を展開している
独自性追求の「モデル店舗」を出店

所在地:大分県日田市大字庄手661-1
開業日:2024年6月27日
営業時間:9:00~22:00
売場面積:2479㎡
ザ・ビッグとしての独自性を追求するなか、最新モデル店として24年6月に開業したのが、「ザ・ビッグ日田店」(大分県日田市:以下、日田店)である。イオン九州が自社開発したショッピングセンター「イオンタウン日田ショッピングセンター」の核店舗で、売場面積は2479㎡。半径3㎞圏内を基本商圏としつつ、クルマで30分圏内までを「影響商圏」とし、広域からの集客をめざしている。
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