2人前で1万円超も!松屋銀座、銀座老舗とのコラボ冷食などが目標の1.5倍も売れた理由

兵藤 雄之
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老舗の味を再現するための万全の支援体制

桜なべ中江の「桜なべ」(株式会社松屋提供)
桜なべ中江の「桜なべ」(株式会社松屋提供)

 その構想から、老舗名店とコラボを組む「銀ぶらグルメ」シリーズが誕生した。

 とはいえ、参加を呼びかけたどの店も、自慢の味を冷凍化した経験はなく、いつもどおりに仕上げたものをただ冷凍にすればよいというものでもない。料理や素材によって、冷凍への向き不向きは当然あり、衛生上の観点から、店舗で提供するものと冷凍食品用のものを同時に作ることはできない。そのうえで店の味の再現を第一義にしているから、おいしくなければ始まらない。

 一方、松屋側では、しっかり販売するためのさまざまなサポート体制を整え、自慢の味の冷凍食品化に躊躇する老舗の経営者らを説得した。

 オリジナルの商品パッケージを作成する傍ら、グループの関連会社を通じて、松屋の衛生基準に基づく安心・安全の確保と、菌検査をクリアするまでの流れを構築、冷凍食品として流通可能であることを確認したうえで販売する支援体制を構築して行った。冷凍にあたっては、専用の冷凍ラボを持つレストランとほかの飲食店をつなぐ役割を果たすことにより、飲食店自身が冷凍機器を持たなくとも冷凍食品に仕上げる環境も整備した。

 こうして1年近くの準備を経て、できあがったのが、銀ぶらグルメシリーズだ。

 銀ぶらグルメ、浅草グルメには、名店の味を再現するための約束事がある。

「われわれが提供する冷凍食品は、お客様に最後のひと手間をかけていただかないと完成品にはならない。パッケージに表示してある指示通りに“レンチン”やボイルなどの簡単な調理をしていただいて初めて老舗の味を再現できる」(今井氏)。

 7月中旬からは、冷凍食品の卸売事業もスタートした。創業138年の老舗高品質スーパー「明治屋ストアー」の広尾ストアー、玉川ストアーから、「銀ぶらグルメ」シリーズなど約20アイテムの販売を開始した。8月末には明治屋ストアーの福岡天神ストアーでも始まり、少しずつ広げていく予定だ。

 消費期限による食品の廃棄が問題になる昨今、期限を気にせず長期保存が可能な冷凍食品の販売はフードロス削減にも寄与しているとSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも高く評価されている。

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