ドラッグストアが進める「食の健康提案MD」と食品スーパーがめざすべき道とは
昨今、食品の販売を強化し、消費者のさらなる利用を獲得しているドラッグストア(DgS)。DgSは、健康産業としてのポジショニングや優位性を発揮するために、売場や品揃えにおいて健康提案を進めていくことが重要だ。それは食品の販売においても同様である。DgSにおける食品の健康提案の現状と、対する食品スーパー(SM)がめざすべき方向性を解説する。
販売額に占める食品の存在感増す
経済産業省商業動態統計によると、22年のDgS業態の食品販売額は約2兆3921億円(前年比:107.1%)で、コロナ禍が収束しつつあるなかでも著しい成長を続けている。
DgSの全体販売額のうち食品の構成比は31%を占めており、OTC医薬品(11.8%)、化粧品・小物などのビューティケア(12.5%)、家庭用品・日用消耗品・ペット用品(14.7%)といった主力部門を大きく上回っている。
食品が好調な要因には、DgS各社が改装により食品の売場面積を拡大していることや、さらなる利便性向上のために生鮮食品の扱いを開始していることなどが挙げられる。
SMをはじめとした食品小売企業にとってますます手強い存在になりつつあるが、外部環境が厳しい状態にあるのはDgSも同じだ。原材料や電気代など各種コストの上昇が収益を圧迫しており、販促の見直しや人員の最適化などを進めることで対処している。
また、メーカー各社の値上げラッシュにより、消費者の節約志向も高まっている。その対応策としてDgS各社は、自社アプリによるポイント販促や、エブリデー・ロープライス(EDLP)の価格政策を推進している。
加えて、DgS、さらには食品を強化したフード&ドラッグ業態自体も同質化が進みつつあり、独自の魅力を発揮していく必要がある。
こうしたなかDgSが存在感を発揮していくには、「健康」の提案が重要テーマの1つになると考える。なぜなら、健康はDgSの専門領域であり、消費者の健康志向もますます高まっているからだ。
季節対応力を生かす「熱中症対策」に商機
しかしながら、DgSの健康提案は