主食や主菜の座に躍り出た冷凍食品 おいしさで選ばれる冷凍めん、炒飯、餃子がリード

冷凍食品ジャーナリスト 山本純子
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食卓向け開発とギョウザが牽引するトレンド

 消費者が「冷凍食品を購入している目的」を見てみよう。日本冷凍食品協会が毎年春に実施している消費者アンケート調査によると、「冷凍食品を購入している目的」の1位は「自宅で食べる夕食」、2位は「自宅で食べる昼食」である(令和3年「冷凍食品の利用状況」実態調査より)。実は、この傾向はずっと続いている。3位は「お弁当用」で、これに4位の素材系商品(野菜、魚介)が肉薄している状況だ。もちろん同調査は、男女ほぼ同比率かつ幅広い年代で実施している。そのことを前提に読み解いてほしい。

令和3年「冷凍食品の利用状況」実態調査より抜粋

 過去10年ほどの家庭用冷凍食品市場を振り返ると、シニア層や男性の利用も進み、食卓需要が増加してきた。さらに女性の「時短」ニーズも後押しした。この流れは、昨年春以降のコロナ禍によって急流になった訳だが、一方で時間の余裕ができたことから手作り回帰の傾向も出てきている。メーカー各社は、夕食のメインディッシュで満足できるレベルの品質やボリュームがある商品の開発・提案を急ピッチで進めている。大きなポイントは「手作りを上回る品質、おいしさ」である。

ニチレイフーズ 「てり焼きチキンステーキ」
味の素冷凍食品 「大海老焼売」

 

 

 

 

 


2021年春発売商品では、レンジで解凍できる1枚120gのチキンステーキが2枚入ったニチレイフーズの新商品「てり焼きチキンステーキ」、大ぶりカットの海老がゴロゴロ入った味の素冷凍食品の「大海老焼売」が話題商品となった。前者は食卓のメインとしてドンと出せる存在感のあるステーキ。しかも、特製だれに漬け込んでからオーブンでじっくり、ふっくらジューシーに焼き上げるという、日本の家庭ではなかなかできない調理法が受けた。後者は、昨年夏から同社の肉焼売「ザ★シュウマイ」がヒットし急成長しているというトレンドを踏まえて、大きな海鮮焼売という王道で攻めた商品である。海老と肉を合わせ、やわらかい皮、コクのある味と飯店レベルのおいしさを実現した。

 チキン関連商品もこの1年、から揚げ、竜田揚げ、フライドチキンなど需要増が続き、夕食向けプラスおつまみ需要を狙う商品提案が続いている。

 さらに忘れてならないのは、餃子の大トレンドである。味の素冷凍食品の「ギョーザ」は、年間1億パック以上、売上200億円以上というガリバー商品で、いまだ成長を続けている。さらに、餃子二番手のイートアンドフーズ「大阪王将 羽根つき餃子」も一昨年に売上100億円を突破し、さらに勢いを増している。餃子はプライベートブランド(PB)も多彩だ。業務用餃子が得意商品のひとつであるマルハニチロ系列のヤヨイサンフーズでも、コンビニPB獲得戦略を進めている。さらに、韓国CJの「王餃子」や、街中華専門店系の大容量餃子(多くは生冷凍餃子)も脚光を浴びている。餃子は、家庭で調理に手間暇がかかる割には、おいしさという結果が各家庭の技量によってまちまちになってしまうメニューであり、どうやら「十分においしいので冷凍で良いのではないか」「羽根つきで仕上がる冷凍餃子がおいしい」という意見が主流になってきたようだ。

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