スーパーの総菜からあげ最前線を直撃レポート!=連載:深堀りすれば見えてくる「からあげ」
課題だったオペレーションとプロモーションにも注力
商品開発を担当した米沢哲也氏によれば、誰からも愛される味をめざし、5つの点にこだわったという。
まず1つ目は、コクのあるうまみとさっぱり後味を両立させるために、高知県産生姜と焼きあごだしを調味液に加えたことだ。一般的な昆布やかつおのだしではなく、トレンドの焼きあごだしを採用することで差別化も図ったのである。
2つ目は、人気が高まるからあげ専門店にならい、1粒25gから40gにボリュームアップし、ジューシーさと肉感を高めた。
3つ目は、昨今のトレンドに合わせて薄衣に。しかも、国産米粉をブレンドし、歯切れのよい薄衣に仕上げた。
4つ目は、下味となる調味液に塩麹を使用した。これにより、風味の良さはもちろん、肉自体が柔らかく、ジューシーさを保てるようになった。
そして5つ目は、濃口、薄口、たまり醤油の3種の醤油を使用したことだ。濃口やたまり醤油だけを使うと、揚げたときに真っ茶色になってしまい、見た目のおいしさが半減してしまう。そこで肉の中に味を行き渡らせる漬け込みには濃口とたまり醤油を使い、肉の外側には薄口醤油の風味と色味が出るように使い分けた。「総菜からあげの場合、温め直して食べる場合が少なくありません。そのため、再加熱を前提とした商品設計にしており、今後も改良を続けていく予定です」(米沢氏)
課題だった規格のズレについては、オペレーションを見直すことで改善を図っている。従来のように、手順どおりに工程を追っていくのではなく、最終形から逆算して工程に落とし込むという手法によって、標準化のハードルを低くした。
また、プロモーションについてもこれまでにない規模感で実施している。日本唐揚協会の八木宏一郎氏とタレントの彦摩呂氏による「唐揚げ 唐王」の食レポ風動画を店頭でPR用に流したり、からあげグランプリ®(日本唐揚協会主催)にも初出品するなど認知拡大に徹底注力。さらに、「だから今夜は家でトリハイ&カラアゲにしよう!!」をキャッチコピーに掲げるサントリーの「トリス」ブランド製品とコラボした売場も展開している。同社では、「唐揚げ 唐王」のブランド化をめざすとともに、長期的な育成にも取り組んでいく。