IKEA渋谷店リニューアルで体現!イケアが「法人向け」を強化する周到な狙いとは

湯浅 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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都心型店舗は「イケアを知ってもらう」店舗

 イケアは郊外の大型店をメーンに事業を展開していたが、ECの拡大や若者の車離れなど、消費者の行動様式が変わる中、20年に都心型店舗の出店を開始した。現在3店舗ある都心型店舗(渋谷店、原宿店、新宿店)では、様々なチャネルからの買物を想定したオムニチャネル戦略に則った運営を目指している。

 郊外の大型店と比較すると取り扱い商品数に限りがあり、車での来店も少ない都心型店舗では、イケアの商品を知ってもらう「ショールーム」としての機能を重要視している。つまり、店舗で見て気に入った商品を配送サービスの利用やECサイト「IKEAオンラインストア」で買物するなど、様々なチャネルを用意しているのだ。

 お客の買物動向の変化は、コロナ禍でより加速し、ECで買物する人が急増したのは周知の通りだ。そして、そのトレンドは、法人向け家具販売にも当てはまるという。菊池氏によると、法人のお客に対するインテリアプラニングサポートも多いときでは約7割が、オンラインでの相談だったそうだ。しかし、キッチン家具を揃えたり、オフィスの内装をリノベーションしたりする際にかかる費用は決して安くはない。そのため、「キッチンやオフィスのデザインの大枠をオンラインで決め、最終的に購入を決める際に実物を店舗で確認する」という買物行動が急増しているのだ。タイル

 渋谷店で、キッチンのパーツや、オフィス用の衝立などを豊富に展示するのも、そうしたニーズに対応するためだという。「対面での相談に抵抗を感じるお客さまや、相談時間を短縮したいお客さまにとっては、リモートでのプラニングはメリットが大きく、利用件数も増えている。さまざまな買物チャネルの中から、お客さまにとって一番利便性の高いものを選んでいただきたい」(菊池氏)

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記事執筆者

湯浅 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1996年生まれ。シンガポール出身。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業後、経済メディアで記者職に就く。フリーライターを経て、2021年12月ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。大学在学中に1年間のアメリカ・アリゾナ州立大学への留学を経験。好きな総菜はローストビーフ、趣味は練馬区を散歩すること。

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