【特別対談】
紙から脱出せよ
コンビニ業界から紐解く!電子化とデジタル戦略で変わる流通・小売りの未来

2017/06/27 10:09
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田中 ここまでお話しした内容ですと、私は「アナログプロセスの象徴である紙は業務から一切排除するべき」と言っているように聞こえるかもしれませんが、当社は「受発注業務」の際に必ず発生する“帳票”を出力するソフトウェアを開発しており、帳票分野ではトップクラスを自負している会社です。帳票の世界を見つめ続けてきたからこそ、紙の帳票がビジネス上重要な役割を果たしていることもよく分かっています。ただ、紙を電子データに置き換えることで効率化できる業務はたくさんあります。なにより、日本の多くのビジネスパーソンが、「紙による業務管理」に追われているのは「もったいない」と感じています。そこで、デジタル化の流れを捉えて“紙”と“電子化”を適切に取り入れた、いいとこどりのハイブリットな提案をしています。今当社では、紙のドキュメントを電子化し、極力、業務の自動化をITに任せる「SPA」という製品を開発し、企業の業務効率化の原動力にできないかと考えています。渡辺さんは膨大な電子ファイルを収集したり関連付けたりするのに苦労していらっしゃるようですが、このシステムを使えば、簡単に電子ファイル内の必要なページを関連づけて取り出すなど、整理・活用がしやすくなると思いますよ。

 

渡辺 いいですね、私もぜひ使いたいです。いくら紙を電子化しても、それを効率的に活用できる仕組みがないと業務の負荷軽減にはつながりませんから。

◆小売・流通業界でのSPA活用イメージ 拡大画像表示

電子化&AIで変わる小売りや流通の未来

田中 どこの企業にもアナログなプロセスが残っているので、効率化できる余地があると思います。電子化すれば社内でなくても作業が出来るようになりますから、育児や介護で会社に来られないという社員のワークスタイルにもフィットすると思います。ビジネスにとって重要ながら、代表的な「アナログプロセス」である契約も、電子化すればハンコがいらなくなり大幅に処理を短縮できます。

 

渡辺 小売りの現場に取り入れるとしたら、その一例は小売専用倉庫からメーカーへの受発注業務でしょう。コンビニは欠品が許されない業態で、負荷の高い業務となります。しかし大手のコンビニも含めて、ほとんどがベンダー卸売業者に受発注を丸投げしているのが実態です。アウトソーシングして効率化を図っていると言えないこともないですが、競争力強化という点では、その店舗に最適な受発注ができているか疑問が残ります。外資系や製造小売業は、デジタル化とともにメーカー直販体制でコストを削減して成長しています。メーカ直販体制になると、さらにコンビニ店舗で扱う紙の業務負荷が増し、その点を効率化し、デジタル化できるかどうかもポイントといえます。

 

田中 私は毎日の仕事の中で、社会の大きな変化を肌で感じています。ここまで伺ったように、小売りや流通業界も社会情勢の変化に対応していく必要があります。デジタル変革が差別化や競争力向上の源泉となり、この先きっと大きな成長を遂げると考えています。電子帳票を一元管理し情報やプロセスを共有した上で店舗オペレーションを行うなど、業務が劇的に効率化していくイメージです。さらにそこにAIによるデータ分析が加わって、電子化とデジタル戦略は企業が勝ち残っていくための必須項目になっていくと考えています。今後、流通・小売業界でどのようなデジタル変革が起きるのか注目したいと思います。本日はありがとうございました。

 

●<SPAについて> 電子化×自動化「紙ゼロ宣言」
  http://www.wingarc.com/product/spa/denshi/

 

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