セブン&アイと外資、オーケー関西進出後…専門家が語る流通業界再編のゆくえ
コロナ禍を乗り越え企業活動が正常化に向かうと思われたところに、コストプッシュインフレが到来し、依然厳しい経営環境が続く小売業界。各種コストが上昇するうえ、人手不足問題も再燃するなか、足元では大手チェーンによるM&A(合併・買収)の動きが増えている。この先、小売再編はどこに向かっていくのか。大手小売業の経営コンサルティング、M&A(合併・買収)アドバイザリーで実績多数のフロンティア・マネジメント 執行役員 コンシューマー・ストラテジー&オペレーション部門 部門長の彦工伸治氏が解説する。
再編の背景にあるコスト構造の変化

国内の小売業界では、このところM&Aや業界再編にまつわる動きが活発になっている。ドラッグストア(DgS)最大手のウエルシアホールディングス(東京都:以下、ウエルシアHD)と2位のツルハホールディングス(北海道:以下、ツルハHD)が経営統合に向けた協議を開始したほか、食品スーパー(SM)ではユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都)がいなげや(東京都)を完全子会社化することを発表するなど、大型再編が相次いでいる。
このような動きは、コストプッシュ型インフレをはじめとする外部環境の劇的な変化によるものだ。小売業のコストの大半を占める原価と人件費の高騰によって、これまで耐え抜いてきたコスト構造では耐えにくくなり、収益を圧迫している。
食糧の調達競争においては、グローバルベースで調達力を持つ企業に優位性がある。また、人件費高騰への対策としてDX(デジタルトランスフォーメーション)を含めた省力化への投資が必要となるが、一定の事業規模がなければ、投資対効果が合いにくい。そこで、自主独立での先行きを不安視する企業が「他社の傘下に入る」と意思決定をするケースが多くなっているというわけだ。
ウエルシア、ツルハ統合へ再編がさらなる再編に?
流通業界では、川上・川中・川下のプレイヤーがフラグメント化(細分化)されているほど、中堅企業は戦いやすい。
SMは比較的フラグメント化された農家やメーカー、中間流通業者との関係性のもとで戦うため、大手の圧倒的な仕入れ条件に差別化で対抗する余地が残されている。その一方で、DgSはバリューチェーン上にフラグメント化された領域がほとんどなく、川下での“ゲリラ戦”を展開しづらい。それゆえ、
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