効率改善、DXが進むもコスト上昇の影響色濃く……アークス2022年度決算

リテールライター:崔順踊
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北海道を地盤とし、東北・関東圏にまで商勢圏を拡大しているアークス(北海道)は、スーパーマーケットを軸に子会社17社、関連会社3社の計21社で構成されている。2023年4月時点でのグループ店舗数は373店舗で、一大食品流通グループとして道内外で大きな存在感を持つ。経営統合後も原則として企業の屋号は残し、経営は傘下の各企業にそのまま委ねる形式で、地域特性や現場の運営ノウハウをそのまま生かすという特徴的な経営統合を進める同社。本稿ではアークスの2023年2月期決算を概観するとともに、今後の戦略についてレポートする。

アークス 外観

20周年特別企画や共同調達などを積極展開

 感染拡大が一服し、行動制限は緩和されたとはいえ、相次ぐ物価上昇などによって消費者の生活防衛意識が高まっている。加えて、エネルギー価格の高騰や建築・包装資材などの価格が上昇したことから、企業内部ではコスト圧力が高まり、厳しい状況が続いている。
 
 そのような中、アークスでは2023年2月期、CGC商品の販売強化や、アークス設立20周年記念事業の一つとしてオリジナル弁当を販売、RARAカードポイント還元キャンペーンなど特別企画を積極的に実施した。

 そのほか、バローホールディングス(岐阜県)、リテールパートナーズ(山口県)らとともに参画する新日本スーパーマーケット同盟において、共同販促やオリジナル商品の開発、間接資材の共同調達などを行ってきた。物流面では、ラルズ(北海道)および東光ストア(同)の共同配送センターにおける稼働率の改善といった効率化施策も推進するなど、グループや関連会社と協力しながらコスト改善に取り組んだ。

 デジタル化の取り組みとしては、ラルズおよび道南ラルズ(北海道)においてデジタルサイネージを導入し、産地と連携したコンテンツの作成や配信を行い販促の強化を実施。また、ラルズの運営する「アークスオンラインショップ」は取り扱い拠点を1店舗から4店舗と拡大し、対象世帯数も2023年2月末時点で129万世帯となり、配送地域も札幌市および石狩市の一部から札幌市全域を含めた7市3町へと広がった。

 加えてアプリの機能向上に取組み、アークスのRARAカードではプリペイドカード機能に加え、クレジットカード決済も可能にするなどDXおよびキャッシュレス対応も推進している。

増収達成も販管費が利益を圧迫

 このような活動を背景として、アークスの2023年2月期決算は、売上高が5662億円、営業利益が148億円、経常利益は対前期比5.0%減の164億円、当期純利益は同3.5%減の99億円となった(新収益基準適用のため前期業績との比較はなし、ただし経常利益と当期純利益は基準適用の影響が軽微であることから前期比を記載している)。

 新収益基準適用後ベースの業績比較では、売上高、売上総利益は前期比で増収となったものの、人件費および水道光熱費を中心とした販管費が大幅に増加し、実質的に同6.9%減の営業減益となっている。

 主要子会社の売上高を見ていくと、ラルズは同3.2%増(新収益基準ベースでの比較、以下同)の1408億円、ユニバース(青森県)が同1.9%増の1309億円、ベルジョイスが同1.9%増の800億円と増収を果たしている。営業利益ではラルズが同6.5%増の70億円、ユニバースが同8.0%減の49億円、ベルジョイスが同0.8%増の3億円と差が出た。

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