超小型の新フォーマット「ホダカ11 」は職人に支持されるか?

調査:矢野清嗣
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プロショップ

DCMホールディングス(東京都/石黒靖規社長)が展開するプロショップ「ホダカ」が約半年前にひっそりと新フォーマット「ホダカ11」をオープンした。その1号店となる「ホダカ11弥富店」(愛知県弥富市)は売場面積が200坪以下の小型店で、売場づくりも従来店と大きく異なる。どのような店舗づくりをしているのだろうか。
調査日:5月14日、15日

200坪以下の超小型店を投入

 まず、ホダカ事業について簡単に振り返る。

 ホダカは2008年8月、DCMHDの旧カーマが愛知県名古屋市に1号店「ホダカ名古屋当知店」を開業したのが始まりだ。工具、金物、作業用品とした品揃えで、資材を取り扱わないのが商品政策(MD)の特徴だ。

 売場面積は約250坪が標準フォーマット。職人向けの専門性の深い品揃えで、早朝に現場で使う消耗品を調達したり、仕事終わりや休日に仕事で使う工具や装備品をゆっくり選ぶ、といった使われ方が多い。

 その後も順調に店舗数を拡大し続け、24年2月期末には店舗数が63店舗。全店売上高は230億円で、業界第2位につける。いまやホダカ事業の拡大はDCMHDにとっての重点施策の1つ。22年3月には事業部から事業会社ホダカ(東京都/本田圭三社長)へと昇格させ、核事業の1つとして成長を加速させる。

「ホダカ11弥富店」
23年9月にオープンした新フォーマット「ホダカ11弥富店」

 ホダカは23年9月、新フォーマット「ホダカ11」を投入した。売場面積が約190坪(歩測)と従来型のホダカの約3分の2の広さで、11時開店と営業開始時間が遅いのが特徴の新フォーマットだ。今回はその1号店である「ホダカ11弥富店」の売場調査を行った。

営業開始は11時 夕方に注力

 弥富店は愛知県内に15店舗目のホダカ業態で、強固なドミナントを築いているエリアだ。弥富市は愛知県の西側エリアにあり、三重県桑名市と隣接する。同店は1号店の名古屋当知店と「ホダカみえ川越店」(三重県三重郡)の間に位置する。

 小型フォーマットで商圏のすき間を埋めるねらいで出店したとみられる。店舗は愛知県と三重県を東西に結ぶ主要幹線道路国道1号線沿いにあり、クルマでアクセスしやすい。

 弥富店には大きく3つの特徴がある。

 1つはMDだ。通常のホダカと異なり、クギ、ナット、ボルトといった建築金物は取り扱わない。同店の大型商品は脚立くらいで、電動工具、先端パーツ、作業衣料、安全靴といった特定のカテゴリーに絞ったメリハリのあるMDを採用している。

 筆者はホダカ1号店のオープン時から売場を見てきているが、当時と雰囲気は大きく異なる。この16年間で培ってきたノウハウが弥富店の売場づくりに生かされており、プロ好みのブランドに特化した品揃えで、職人が「つい行きたくなる」ような構成だという印象を受けた。

 2つ目の特徴は営業時間。プロショップでは早朝営業が定番となっており、ホダカも7時開店が基本となっているが、弥富店のオープンは11時。「夕方の営業に注力し、現場帰りのお客さまに満足いただける店舗」という明確な方針も打ち出している。

 実際、調査日には夕方4時半〜5時にかけて仕事帰りのクルマ8台が出入りしていた。滞留時間は平均約20分で、しっかりと商品を吟味するお客が多かった。開店して約9カ月が経過しているが、夕方の来店客が定着しているようだ。

 3つ目の特徴は女性スタッフが中心となって店舗を運営している点だ。店長も女性で、売場を駆け巡って仕事をしていた。調査日2日間は店長のほか、女性スタッフが2名いて、商品の補充と会計を担当。そのためか、商品の陳列が丁寧で売場全体の雰囲気が男性中心の従来店と異なる。来店客にも作業着を着た女性の職人もいた。女性の建築業従事者も増えるなか、時代の変化に合わせた店舗運営のスタイルだといえる。

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