PLUS ONEⅡ 信州箕輪店、無人決済のスマートストア「接客しない」新業態に挑戦
7年半前、五感に訴えかける緻密な売場づくりやドライブスルー併設といった常識にとらわれない「プラスワン長野店」(長野県長野市)を開業し、業界をあっと驚かせたプラスワン(山梨県/矢崎金雄社長)。4月23日、同社は再び大胆な新フォーマット店「PPLUS ONEⅡ信州箕輪店」(長野県上伊那郡)をオープンさせた。
信州箕輪店はJR飯田線「北殿」駅から徒歩約20分の場所にある。名古屋市と塩尻市を南北に結ぶ主要幹線道路の国道153号線に面し、クルマでアクセスしやすい。パチンコ店の跡地に居抜きで、増床して出店した。同店がある上伊那郡南箕輪村は行政が子育て世代の移住に積極的で人口が増加し続けているエリア。年代別構成比はプラスワンが得意とする30〜40代の比率が高いのも特徴だ。
同店のコンセプトは「接客しないスマートストア」。接客なし、有人レジなし、商品発注の自動化など、デジタル技術を駆使することでオペレーションを効率化した、業界の常識にとらわれない新フォーマットだ。店舗運営スタッフは店長を含めて1日5〜6人。決済後の検品、レンタルサービスの対応や商品管理が主な業務だ。「従来型の売場づくりでは大手と差別化できず、今後は成り立たなくなる。リアル店舗としての在り方を追求した実験店舗」だと矢崎社長は話す。
同店最大の特徴である決済の仕組みは、まず、お客に事前に専用のアプリをスマホにインストールしてもらう。買いたい商品のバーコードをアプリでスキャンし、出口前のレジで支払う。スタッフが検品して出口から帰るという流れだ。防犯の観点からカバンの持ち込みは不可で、入口に設置したロッカーに預けられるようにしているほか、AIカメラで不審な行動がないかをモニタリングできるようにしている。
信州箕輪店の売場面積は約4000㎡で、工具・金物・作業衣料などを取り扱う本館と木材・ブロック材など建築資材を揃える資材館に分かれている。
本館の品揃えは「ベースは長野店と同じ」(笠原加奈子店長)で、建築職人が仕事で使いやすいクオリティにこだわった商品をラインアップする。長野店と同様に空間デザインにもこだわり、黒を基調とした什器で統一し、商品がより目立つように照明を設定。入口から入ると扇形に広がって見えるように陳列され、什器の高さも場所によって変えることで空間を広く見せるように工夫した。
資材館は木材・ブロック材を中心に長野店の2倍近くに品揃えを拡充。トラックに乗ったまま入場して、購入したい商品を積み込んで、出口でセルフ決済するドライブスルー方式を採用。電動工具や大型機械のレンタルサービスも行う。
「お客さまにこの仕組みに慣れてもらうには時間がかかるだろう。10年、20年先を見据えて店づくりをしていきたい」と矢崎社長は意気込む。
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