急成長下で見えてきた生鮮ドラッグの課題と限界、スーパーの反撃とは
それでもSMは「優位」にはない
では、SMにとってフード&ドラッグはもはや「敵」ではないのか。結論、そう考えるのは時期尚早だろう。
1つは「価格競争では優位に立つことが難しい」という点だ。一部の大手チェーンを除き、フード&ドラッグがとくに加工食品や日配品で行う強烈な価格訴求をフォローできるSMは少ないだろう。生鮮では集客できたとしても、お客の買い回りによって加工食品・日配品の売上が一定量奪われているというケースも少なくない。この構図はフード&ドラッグが存在し続ける以上、変わることはないだろう。とくにコスモス薬品のような、徹底したオペレーション標準化による圧倒的なEDLP(エブリデー・ロープライス)と高速出店を維持しているようなプレーヤーの影響は、どうしても無視できない。
もう1つは、既述のようにゲンキーやイオンウエルシア九州といった、生鮮強化に本腰を入れて取り組む勢力の存在だ。前者は徹底したEDLPを軸に、後者は店内調理の総菜をはじめとした生鮮の品質・価値訴求を軸にする点でカラーこそ大きく異なる。しかしいずれもSMとの競合度合いは高く、DgS商材を含めたワンストップの利便性を考えると、SMにとっては大きな影響がある。また、こうしたフォーマットが今後、他社でも開発される可能性も否定できず、フード&ドラッグの新たなスタンダードになるようなことがあれば、潮流は大きく変わるだろう。
それとは逆に、SM企業側からDgSにアプローチして手を組み、両者の専門性を追求したフォーマットを構築することもできるかもしれない。自社グループ内にDgS事業会社を有しているSM企業の場合、参入ハードルはより低いといえるだろう。
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このようにフード&ドラッグは相変わらず力強い成長を続けつつも、とくに生鮮戦略においては課題も明らかになりつつある。本特集では、全国の主要企業や注目店舗、激戦地の取材や調査をもとに、フード&ドラッグとSM双方の今後の戦術、生き残り方を考察した。DgSにとってもSMにとっても、今後の成長戦略を描くうえでの大きなヒントがあるかもしれない。
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