「おいしさ」を科学的に追求する、原信・ナルスの総菜戦略 売上毎年4%増加
アクシアル リテイリング(新潟県/原和彦社長)傘下の原信(新潟県/丸山三行社長)とナルス(新潟県/丸山三行社長:以下、原信とナルスの2社を原信・ナルスと総称)は、即食需要の高まりに合わせ総菜を強化している。
2024年10月には新本社に移転し、最新設備で商品開発に取り組む。原価高騰が続く中でも、素材・商品の「おいしさ」を磨き続けることに重点を置いた商品開発を続ける。
「だし香るかつ重」の売上リニューアル後、3割増に!
原信・ナルスでは、コロナ禍以降、総菜の売上高を順調に伸ばしている。
2020年3月期から24年3月期までの総菜部門の既存店売上高をみると、21年3月期に対前期比0.1%減と前期をやや下回ったものの、22年3月期以降は年平均4%増のペースで伸長。24年3月期には、アフターコロナへの転換に伴う帰省客の増加や地域のお祭りの開催によって「ハレの日」需要が回復し、総菜部門の売上高はコロナ禍以前の水準を上回った。
25年3月期も好調を維持し、24年10月までの累計で対前年同期比3%増となっている。

原信・ナルスでは、部門の専門性の向上とMD(商品政策)のさらなる深掘りをめざす「ニューコンセプトⅡ+(ツープラス)」を15年に打ち出して以降、全社を挙げて即食を強化してきた。
総菜部門では、冷総菜と米飯がとくに好調だ。冷総菜では、レンジアップの簡便商材が売上を伸ばしているほか、ポテトサラダやひじき煮、きんぴらごぼうなどの定番商品も安定的に伸長している。
また米飯では、「野菜たっぷり豚生姜焼き弁当」「極醸!銀鮭西京焼き弁当」といった定番の弁当が人気だ。24年11月にリニューアルした「だし香るかつ重」は、リニューアル前と比べて売上高が約30%増加している。
生鮮部門における総菜の開発も積極的に推進してきた。青果、精肉、鮮魚、総菜の4部門横断で手がけるサラダメニュー「365×3サラダライフ」や精肉部門の肉総菜「Meat Deli(ミートデリ)」、鮮魚部門の「魚菜屋(うおさいや)」がその代表例だ。売上高構成比は総菜部門が約12%で、生鮮総菜を含めると約15%にのぼる。


今期は、「おいしさがドまん中大作戦!」をテーマに掲げ、「どうやってよりおいしくするか」を重視した商品開発に注力している。
原信・ナルスのMD機能を担う原信ナルスオペレーションサービスで常務取締役商品本部長を務める中川学氏は「原材料費をはじめさまざまなコストが上昇し、品質がないがしろにされがちな今だからこそ、本当のおいしさを追求し、きちんと提供したい」と、この方針に込めた思いを明かす。
原材料費が高止まりする中、直近でとくに課題となっているのが、米の価格高騰への対応だ。原信ナルスオペレーションサービス商品本部生鮮総菜チーフバイヤーの夏川哲雄氏は「おいしさを“ドまん中”に据え、安価な米に安易に切り替えることなく、どのように価値を付加し、値ごろな価格で提供できるかが課題」と述べる。

原信・ナルスでは、商品開発のための基盤づくりにも力を入れている。社内では
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