「サステナブル提案」はコストじゃなく利益!土屋鞄製造所が若年層を取り込んだ手法とは

カデナクリエイト:箱田 高樹
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ランドセルや革小物メーカーとして知られる土屋鞄製造所(東京都/土屋成範社長)が近年注力しているのが“サステナブルな”モノづくりだ。環境配慮型のユニークなプロダクトやサービスを次々と立ち上げている。土屋鞄製造所のサステナブルな取り組みのねらいについて迫る。

土屋鞄商品

土屋鞄製造所に根付くサステナブルなモノづくりのDNAとは

 土屋鞄製造所の創業は1965年。東京足立区西新井にランドセルの工房として創業した。2代目で現代表の土屋成範氏が入社した90年代後半から、同社はECやメルマガを使ったコンテンツマーケティングとダイレクトマーケティングの手法をいち早く導入。ユーザーに直接ランドセルづくりに根付いたモノづくりの妙味を丁寧に伝えたことで人気を博し、実店舗と自社ECの製造直販スタイルであるにも関わらず、1965年の創業以来、累計90万個を製造販売した。

西新井にある土屋鞄製造所本店併設の工房
西新井にある土屋鞄製造所本店併設の工房

 ランドセルに並んで売上が伸長しているのが、00年代にスタートした大人向けの鞄ブランド「土屋鞄製造所」だ。ランドセルで培ったものづくりの手法をレーザートートやブリーフケースなどの革製品の製造に生かした。こうした大人向けラインの専門店も増やし続け、今や国内12店舗、海外にも3店舗を持つまでになった。

 こうして、同社のこだわりぬいたものづくりのファンになったユーザーは多く、同社の巧みなダイレクトマーケティングの手法と相まって、LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)も高い。たとえば、土屋鞄のランドセルユーザーが成長して大人用の土屋鞄ブランドを愛用する。あるいは、ユーザーの両親が自分の子供に購入したランドセルの良さに触れたことをきっかけに、大人向けの土屋鞄ブランドの愛用者になるといった具合だ。

 ただその一方で、若い世代のファンを増やし続けているとはいえない状況があった。そのために、若年層を含めた新しいユーザー層にリーチすることが経営課題だった。 

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