ChatGPTの衝撃!アパレルに起こす「接客大革命」と競争優位性への影響とは
ささげ業務やウェブ接客が自動化される
そうなると、ウェブの世界のリッチコンテンツ化、単なる写真が動画に、動画がユーザー側が自由にコーディネートできるインタラクティブな世界へ、そして、自分のアバターに着せ替えて、最後にメタバースに到達するという進化の過程を経るとするなら、すでにWEBによる接客、および、ささげ業務の消滅と、すべての掲載される写真の動画化が実現可能となっているのだ。
例えば、ユニクロのウェブページをみれば、すでに写真は動画化されて、ウェブの中で音をだしたり、動いたりしている。しかし、それは4色あるうちの代表的な色だけで、その他の色のコーディネートや動画を見ることができない。おそらく、同社は現在も「ささげ業務」をやっているものと想像されるが、今は、人間がやらなくても、少数のピースさえあればAIが自動でモデルの表情から生地感までを合成写真で、しかも、極めて安価につくることができる。
産業界は、3D CADを念仏のように疑いもなく使っているが、あの3Dモデルは酷く、また、前回述べたようにデザイナーの思考と逆(パターンを読み込んで商品イメージをつくる。デザイナーは商品からパターンを変化させる)で、まったく生産性の向上に寄与していない。こんなものは使う意味は無いし、必ず商品デザインからパターンを自動生成する3Dモデルが登場するだろう。それまで、ハサミでパターンをつくり基礎を学んでおくべきだ。
このように、ウェブの中で服が様々な服とコーディネートでき、ARによって裏も表も見ることができ、モデルに着させて着用感を見ることも可能だ。一方、裏側ではこうした消費者の動きを拾って、どのコーディネートが最も売れるか、どの写真が消費者に刺さるのかということを学習し、ウエブはますます魅力的になる。さらに、こうした消費者の動きから調達量を再算出することもできる。こうした作業がすべて自動で、しかも、極めてローコストで実現が可能なのだ。
Chat GPTは打ち出の小槌か?
講演で、デジタルについて話すと必ずでてくるのが「ボタンをおせば、売れる商品がパッとでてくる技術はないのか?」である。答えは、イエスでありノーだ。
まず、このように、裏側にさしたる戦略もなく楽をしようと考えている人は、まっさきにリストラされるだろう。また、システムから抽出される「売れ筋商品」も、例えば、ユニクロが似たような商品を半額の値段でだせば一発で消費者はそちらにながれてゆく。つまり、こうした技術が完全に奏功するとしたら、社会主義のような計画経済か、日本においては自社が唯一のプレーヤーであることが条件になる。「売れる商品がパッと出てくる技術」は自社だけが持てるものではないからだ。
すでに、水面下ではファンドによる中小アパレル企業の買収が盛んに行われており、先進的なアパレル企業も緩やかに人員を減らして行きながら、M&Aで成長を目指している。限られたパイを奪い合う戦いの果てには、相手を自社グループに組み込む資金力や資金調達力が勝敗を決することになる。
「売れる商品は?」などと、矮小化された視点で、技術屋さんと盛り上がっていては競争には一生勝てないことを知るべきだろう。
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プロフィール
河合 拓(経営コンサルタント)
ビジネスモデル改革、ブランド再生、DXなどから企業買収、
デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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