【必読!】凄腕コンサルが教える!財務3表から仮説を立て企業業績を分析する方法
①売上高在庫比率を経年で見れば危険度が分かる
売上高在庫比率とは、在庫を売上高で割った比率のこと。流動資産の中には、今から売れる在庫と、何年も売れない在庫が残っている。上場企業の場合は、在庫の時価評価をキッチリやっているため大丈夫と思っている人がいるが、例えば、在庫の評価減、あるいは、評価損までの期間が3年、あるいは、5年の場合、流動資産の中の不良在庫が明確になるには、3年から5年もかかることになる。この期間、不良在庫は年々大きくなり、流動資産を肥大化する。
本来、流動資産とは「一年以内に現金化できる資産」という意味なのだが、在庫が流動資産に計上されることを知らない人は、いわゆる古典的な流動比率(一年以内に現金かできる資産と、そうでない資産の割合)でお茶を濁し、「ああ、この企業は大丈夫だ」と思うのは極めて危険だ。
②売上高原価率は、値引きと余剰在庫(売れない商品の割合)が分かる
アパレル企業の場合、企画原価率は百貨店で20%、ショッピングセンター(SC)で35%、セレクトショップなどメーカー品で40%程度となる。一方、企業の原価率は50%から55%がほとんど。もし、仕入れた商品を、当初企画した数量と上代ですべて売ることができれば、百貨店向けの粗利益率は80%になるし、SC向けの商品は65%となり、企画原価率の逆数になるはずだが、実際は原価率が上昇してそのようにはならない。
これは、仕入れた商品が、当初企画した上代と数量を下回るからだ。例えば、企画段階でマーチャンダイザーが100円をつけた商品でも、値引きを繰り返し、最終的に50円でしか売れなくなると、上代が下がり原価率は相対的に上昇する。また、100個売れると想定して100個仕入れた場合、80個しか売れなかった場合も、20個は不良在庫となって原価率を上げることになる。
つまり、マーチャンダイザーが当初企画した上代と数量で売り切れば、企業の収益は最大化されることになる。例えば、百貨店を主軸に事業を展開している企業の原価率が50%を超えている場合、企画原価率が20%だから、値引きと過剰在庫の合計損失が約30%となるわけだ。過去は、百貨店向けの売上は下代といって、百貨店の家賃見合いを引いた売上を計上していたため、このような計算が難しかったが、昨年4月より収益認識基準がすべての企業に義務づけられたため、上代換算で原価率のなかの歩留まりを計算することが可能になった。
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