ローカル、エシブル、高収益にSDGs… 良品計画が新中期計画でめざす“独自の姿”と浮上する課題を徹底分析
現中期計画はMUJIブランドの“グローバル化”
筆者は現在の中期計画は、「日本の無印良品を世界のMUJIにする”グローバル化”を目指した」ものだったと理解しています。MUJIの世界ブランド化とも言い換えられるでしょう。そのために、サプライチェーンの効率化を進め、世界的にできる範囲で値下げを実現し、売上を伸ばして、規模の利益を確保し、それを再投資するサイクルを狙ったものだと思います。
浮かび上がった課題:気がかりな利益率の行方
コロナ禍の影響でなかなか数値からの評価は難しいのですが、成果は、国内外での売上拡大に成功したこと、利益額の面で国内と東アジアの2本柱体制になったことです。
しかし、営業利益率に課題があります。好採算の東アジア事業でやや頭打ち感が出てきていること、国内事業の採算が低下基調にあること、そして欧米事業が赤字体質からなかなか脱却できないこと、つまりいずれの地域にも利益率の面で課題が出ています。
ちなみに、会計基準と会計期間が異なることを承知の上で、ファーストリテイリングの2017年8月期実績から2021年8月期会社予想までの推移を見ると、売上収益は1兆8619億円から2兆2100億円へ+18%増収に、営業利益は1764億円から2550億円へ+44%増益になっています(注・同社は国際会計基準<IFRS>)。結果論になるかもしれませんが、ファーストリテイリングは増収と利益率の二兎を追い、良品計画はどちらかといえば増収を追ったと思われます。今年度の営業利益率は、2社の会社計画ベースで、ファーストリテイリングに分があります。良品計画はそろそろ利益率を無視できない局面に差し掛かりつつあると考えます。
もう少し状況を補足しましょう。良品計画は現在、衣服・雑貨、生活雑貨、食品を主要事業ドメインにしています。しかし、各カテゴリーに有力な競争相手がおり(日本でも名創優品MINISOが話題になりました)、同社は決してカテゴリートップではありません。EC事業者のプライベートブランド(PB)商品もいずれ無視できない存在になることでしょう。したがって、規模を追うなら徹底的に増収を追い求め、そうでないならば収益率軽視は避けなければなりません。
収益率重視は赤字部門の閉鎖や狭義の在庫管理にとどまりません。商品1つひとつの価値設定をやりなおし、消費者に響くストーリー作りが不可欠です。そして良品計画の場合、MUJIというコンセプトに大いにヒントがあると筆者は考えます。
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