元ファストリ社員が北九州のうどんチェーンを「人材育成企業」に変えるまでの道筋

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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めざすは「人材育成企業」 いま”教育”に本腰を入れる理由
 

 佐藤社長が目下の課題として注力しているのが、人材教育だ。「『資さん=人材育成企業』にしていかなければと考えている。私たちの事業は人で成り立つビジネスなので、人が育たなければ顧客満足度も上がらないし、成長も実現できない」(佐藤社長)との思いからだ。

 その背景には、出店エリアの拡大という戦略がある。さらなる成長に向け新規エリアへの出店が続くなか、「資さんの知名度が低く、お客さまとしてもご来店されたことがない方ばかりの北九州以外のエリアで、現地採用の従業員だけで資さんの味とサービスを100%体現することは簡単なことではない」(佐藤社長)という課題が、新規出店の中で浮き彫りになってきたからだ。

 そこで設けたのが、「専属トレーナー制度」だ。既存店のベテラン従業員で意欲のある人材を登用し、新店で調理やサービスのトレーニング業務に就いてもらうというもの。各ポジションのスキルのみでなく、資さんの経営理念や行動規範まで伝承することで、新店でも既存店と変わらない味とサービスを提供できるようにするねらいだ。 

 また、店舗従業員だけでなく、店長やエリアマネージャーの教育にも力を注ぐ。20年11月に、「資さん大学」と命名したプログラムを設立。まずはエリアマネージャーを対象に毎月、佐藤社長とCOO(最高執行責任者)が講師として登壇。「経営・商売・仕事」をテーマに講義し、経営者目線での考え方を養っている。

「従業員全員が貪欲に成長を追い求める必要はない」

 ただ、佐藤社長は「全員が全員、上昇志向で成長をめざす必要はない」とも言う。「キャリアアップを図り貪欲にチャンスをつかもうとする人もいれば、日々来店される地域のお客さまに向き合っていくことを追求したいという人もいるだろう。どちらも大事なことで、役割やめざすことは違っていい。そうした“幅”を許容できる組織づくりが重要だ」と話す。

 資さんは今後も店舗拡大を図る方針で、まずは九州での出店を中心に、中国地方への早期進出を図る考えだ。その後、大阪や東京など大都市圏でのチェーン展開も視野に入れる。「資さんうどん」の看板を全国に増やすべく、それを支える人材の教育に本腰を入れている。

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