アパレル不振の根源「作りすぎ」、作らなければ利益激減 この二律背反を解決する方法

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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「作りすぎ問題」を解決する3つの方法

問題解決の方法は大きく3つ(kitzcorner/istock)
問題解決の方法は大きく3つ(kitzcorner/istock)

 それでは、この「作りすぎ」の問題に我々はどう向き合えば良いのか

1.放置し自然淘汰に任せる

 残念だが、これが最も現実的な解だろう。競争力のないアパレル企業は、いくら商品をつくっても余剰在庫となり現金は枯渇する。やがて、キャッシュフローが回らなくなって破産する。もし、その企業に付加価値があれば、必ず買い手が現れる。現れなければその会社は寿命を迎えたということだ。こうして、「神の見えざる手」によって、需給バランスは保たれる。いわゆる金融主導の業界再編もこれにあたる。新型コロナウイルスは、そのスピードを速めたということかもしれない

2.アパレルビジネスから撤退する、あるいは大きく縮小する

 実は、資金力のある大手企業の中には、衣料品比率を下げてプラットフォーマーになる、あるいは、D2Cのような、固定費の軽いスタートアップのインキュベータになるという道を選択しはじめる企業は少なくない。私は、いわゆるGAFAMという最下層の汎用プラットフォームの上に、様々な戦略やデータを活用した、独自性を持つ二階層マルチ・プラットフォームができあがるという考えを持っている。世の中が不況になれば、金転がしと土地転がしが増える。これから、特にファッションビルなどはデベロッパーとなり、カードなどの金融ビジネスに軸足を移すだろう。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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