コロナ禍で宅配激増も、欠品率はわずか2% 知られざる生活クラブ生協・東京の強さ
繁盛店の年商は3.3億円小型SM「デポー」
![「デポーせたがや」(東京都世田谷区)](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2020/10/dcs201101_COOP_Case2_SeilatsuClub_03.jpg)
生活クラブ東京は宅配事業だけでなく、04年から店舗事業も展開し、小型食品スーパー(SM)「デポー」を運営しているのも特徴だ。売場面積は約30~50坪で、PBを中心に商品を構成。現在、10店舗を展開している。各店舗とも毎年、売上は伸長傾向にあり、繁盛店では年商3億3000万円を稼ぐ。
![生活クラブ東京が運営する「デポー」の店内](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2020/10/dcs201101_COOP_Case2_SeilatsuClub_04-247x300.jpg)
利用者も年々増加傾向にあり、現在、宅配利用の組合員が約7万1000人に対し、「デポー」の利用登録組合員は約1万8000人まで増えている。
店舗事業の好調の背景には独自の運営方法がある。まず出店地には、同生協の知名度が高く、すでに宅配利用の組合員が高密度に居住するエリアを選ぶ。加えて、開設前に周辺エリアで店舗利用の新規組合員を1200人以上集め、着実に売上を見込める状況にしてから店をオープンしている。
各店舗の運営は、地域の組合員が設立した労働者協同組合ワーカーズ・コレクティブ(※注)が中心となり、生活クラブ東京の組合員に有償ボランティアというかたちでレジや品出し業務を手伝ってもらいながら行っている。
高齢化により自宅から近くて買い回りしやすい小型店の存在が見直されていることに加え、生協ならではの安全・安心な独自の品揃え、また販売者も組合員であるからこその利用者との信頼関係が、利用拡大につながっているという。
今後の中長期的な戦略として同生協がめざすのは、宅配事業における東京23区でのさらなる利用拡大だ。現在は、世帯数に対する組合員の割合は多摩方面で高い。都区部では墨田区を除く22区(一部地域除く)で、約4万7000人の組合員を獲得してるが、これをさらに増やしたい考えだ。
「今回のコロナ禍では東京23区から多くの加入希望があった。同エリアでの当生協の認知度は低いため、まだ伸びしろがある」と小林専務理事は語る。これを実現するべくまずは物流体制を整備し、配達能力を拡充する計画だ。
※ワーカーズ・コレクティブ:地域住民が共同出資し、全員が対等な立場で経営にも参加しながら、地域社会に必要なモノやサービスを提供する事業体。80年に生協活動から派生して全国に広がった
生活クラブ東京概要
※2020年3月末
本部所在地 | 東京都世田谷区宮坂3-13-13 |
創立 | 968年12月16日 |
出資金 | 94億円 |
組合員数 | 約8万7000人 |
生活クラブ・東京の直近5年間の経営概況
出典:生活クラブ・東京
年度 | 総事業高 | 経常剰余 | 宅配供給高 | 店舗供給高 |
2015 | 207億円 | 1億4500万円 | 187億円 | 20億円 |
2016 | 217億円 | 1億9100万円 | 196億円 | 21億円 |
2017 | 217億円 | 1100万円 | 195億円 | 22億円 |
2018 | 225億円 | 4800万円 | 201億円 | 23億円 |
2019 | 226億円 | 1億300万円 | 201億円 | 25億円 |
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