制度変更で減収減益の宅配事業がコロナで復活 コープデリ連合会、物流投資で巻き返す
関東・信越の1都7県の地域生協からなる生協最大の連合会であるコープデリ生活協同組合連合会(埼玉県/土屋敏夫理事長:以下、コープデリ連合会)。同連合会は2018年に実施した配送手数料の制度変更によって主力の宅配事業が低迷傾向にあった。しかし、コロナ禍での宅配ニーズの急増により状況が一転。これを機に物流や注文方法など、あらゆる側面での改革を加速させている。
主力のコープみらいの宅配事業が減収減益

2019年度のコープデリ連合会の総事業高(小売業の営業収益に相当)は対前年度比1.1%増の5596億円、経常剰余(同経常利益に相当)は同12.8%減の83億円と増収減益だった。北関東の地域生協が増収に貢献したものの、事業エリアの約7割を占めるコープみらい(埼玉県)の宅配事業において、供給高(同商品売上高に相当)が同0.1%減の2655億円と伸び悩んだことが、成長にブレーキをかけている。
コープみらいが事業を展開する東京・千葉・埼玉は、宅配需要がとりわけ伸長するエリアだ。それにもかかわらず業績が振るわないのは、18年度に実施した事業構造改革に伴う制度変更が影響している。
18年1月、コープみらいは未就学児のいる全世帯を対象に、個人宅配の基本手数料・配送手数料を無料にしていたサービス「子育て割引」の内容を変更。1回の利用金額が税抜3000円未満の場合は有料(税抜180円)とした。理由は少額利用者の増加により、配送現場の負担増、また収益性の悪化を招いていたためだ。結果、多くの組合員の利用休止や離脱を招き、近年強化してきた子育て世帯の獲得も難航するようになった。
コープデリ連合会常務執行役員宅配・EC事業本部長の石井雅栄氏は「有料化は宅配事業継続のための苦渋の決断だった。その結果、手数料収入は大幅に増大し、少額利用者が減ったことで1人当たり利用高は向上している。しかしながら19年度も事業構造改革前の成長水準には戻れていない」と説明する。
新規加入受け入れを中止前例のない事態に
そうしたなか迎えた20年度は、
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