店舗レポート 日本初上陸のb8ta(ベータ) 体験してわかった!お客と出品者に魅力的な理由

2020/07/29 17:14
    大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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    接客でまず伝えるのは
    出店企業の「ミッション」

     接客も特徴的だ。ベータは「売ることを主目的としない」接客を志向している。

     たとえば、ベータの接客では、来店者への声掛けは「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」だ。そして商品説明の際にはまず、商品の使い方や機能ではなく、そのメーカーが掲げる社会的「ミッション」から伝えるようにしている。

     さらに、すべての出店商品について紹介できるように、店舗スタッフは出店企業から直接レクチャーを受けるとともに、オンラインツールを活用した学習も受ける。そうすることで、「出店企業の代表者」のような接客が行えるようにしているという。

     有楽町店、新宿店ともに店舗スタッフ数は8人。日本の消費者は接客サービスを重視する傾向があるとして、米国の店舗よりも多くの人員数を配置している。

    店舗スタッフは「売る」ことではなく、出店企業や商品の魅力を伝えることを目的とした接客ができるように日々トレーニングを重ねる
    店舗スタッフは「売る」ことではなく、出店企業や商品の魅力を伝えることを目的とした接客ができるように日々トレーニングを重ねる

     このように「ベータ」は、出店企業に対して、自社商品を好立地で、かつ限られた予算でプレゼンテーションできる場を提供していると言える。

     筆者自身、取材時に店を見ると、今まで知らなかった多くのユニークな商品に惹きつけられ、時間があっという間に過ぎていった。

     消費者に対しては、「体験」「発見」のある場という価値を提供している。これは近年、業態の垣根を越えた競争が激化するなか、リアル店舗に求められている価値そのもので、丸井グループのような商業施設側にとっても魅力のある店と言えるだろう。
     
     今後の「ベータ」の日本での店舗展開について北川氏は「店舗数拡大の構想はもちろんあるが、現段階では次の出店計画は未定」と語っている。「ベータ」は日本の消費者やメーカーに支持されるのか。オープン後の動向に注目だ。


    「b8ta Tokyo – Yurakucho」店舗概要
    所在地:東京都千代田区有楽町1-7-1 「有楽町電気ビル」1階
    営業時間:11:00 ~ 19:30
    売場面積:256㎡

    「b8ta Tokyo – Shinjuku Marui」店舗概要
    所在地:東京都新宿区新宿3-30-13 「新宿マルイ本館」1階
    営業時間:商業施設に準拠
    売場面積:122㎡

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    記事執筆者

    大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

    1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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