子育て世代のステイホームで脚光 キッザニアのアプリ版「ごっこランド」の魅力
ゲームを通じて、嫌いな野菜にも興味を持つことも
いずれも、子どもが直感的にゲーム内容を理解できる簡単なものだが、それでいて、なかなか飽きさせないクオリティに仕上げられている。
というのも、キッズスターは知育アプリの開発実績が豊富で、子どもたちが繰り返し楽しく遊ぶためのノウハウをもっているからだ。
加えて、協賛企業1社ごとに「1からつくる」オリジナル性も、子どもたちの心をつかんで離さないポイントだ。
だからこそ「企業公式の“ごっこ遊び”を通じ、企業と子育てファミリー層とのコミュニケーションを図る」(同)ツールとして活用されているのだろう。
実際に、ごっこランドにゲームコンテンツをアップした後に、その企業ブランドへの信頼度や第一想起のポイントが上がったというデータもある。
しかし、それ以上に興味深いのが、ユーザーがSNS上に投稿する生の声だ。
たとえば、「子どもたちの偏食がすっかりなおった」とか、「歯磨きを自主的にやるようになった」とか、最近では次のような投稿があったという。
「『Cook Do®』(クックドゥ)で おやさいすきになっチャイナ!」内でキャベツのざく切りに挑戦していた子どもから、「クックドゥのホイコーローが食べたい!」というリクエストがあった。しかも、それまで葉野菜全般を、決して口にすることのなかったのに「キャベツ入れてね」と注文も入って、結局、キャベツだけでなく、ピーマン、長ネギもしっかり食べてくれた。
こうした声から見えてくるのは、ごっこランドでの遊びは、子どもたちの生活を変化させるということだ。その結果、ファミリー層の買い物行動にも影響を及ぼす。
ごっこランドは、ゲームコンテンツを提供する企業と、子育てファミリーとのコミュニケーションツールではあるが、それだけにとどまらず、彼らの商品購入やサービスの利用機会の増大に影響力をもつということだ。そして、SMとして見逃せないのは、現在、ゲームを提供している企業の顔ぶれをみると、SMに関連した商品を扱うメーカーが少なくないという点だ。
子育てファミリーはSMがメーンのターゲットとする層。その3分の1に深くリーチできるごっこランドは、たとえ自社として提供できるゲームコンテンツがなかったとしても、SM自身が自分たちには「関係ないもの」と簡単に片づけてしまうのはどうだろう。
ごっこランドのコンテンツ、子育て世帯のユーザーの声、ゲームコンテンツを提供するメーカーの商品、これらを関連付けた売場をSMが構築できれば、新たな販促効果を生み出せる、そう考えることもできるのではないか。