シーイン模倣騒動と大差ないアパレル業界のパクリ体質 シーインがそれでも勝つ理由
シーインの実態はテック企業
「不完全なAI」に学習させると何が起こるか?
実際、シーインは自らを「テック企業」と呼び、アパレルカンパニーと呼んでいない。彼らは、創業期はウエディングドレスからはじまり、アパレルを経てキッチン用品、ペットグッズまでアルゴリズムを進化させているわけだ。また、その安さとスピードを生み出す生産の秘密や、AIを使った画像マッチングの技術、そして、その画像解析から「ヒット要因」を見いだし、売れ筋商品を見つけ残反素材で作る技術はさんざん説明したとおりだ。
例えば、日本のQRなど、「パクリ」技術の最たるものであり、AIをつかった需要予測が全く機能しないのは、この「パクリ・ビジネス」に活用すること、そして、量の問題と質の問題をはき違えているからだ。
その結果、みずからのビジネスフローを忘れてしまい、「
今、日本のショッピングセンターにいけば、値段を安くした「無印良品」風の店舗や、生活雑貨とアパレル、カフェを組み合わせた複合業態など、「どこかでみた店だな」というものはいくつもあり、また、アイテム別に見れば、そのほとんどが「ユニクロやg.u.でみた(どちらがマネたかはわからないが)」というものが氾濫しているではないか。
それでも、アパレルは私の知っている30年、中国製のロゴコピーはあったが、アパレルのデザイン模造品(にせもの)訴訟は聞いたことがない。
もし、私の仮説が正しいなら、シーインはやがて「訴訟費用をコストと考えるモデル」(Wallstreet journal)をやめ、AIアルゴリズムを発展させて、ロゴや絵画の模倣をヒットの要因として分析しない仕組みをAIに学習させるだろう。そうなれば、まだ確定情報を制御するPLMでドタバタ騒ぎをしている日本企業を遙かに抜き去る、
あるメディアで、「シーインの工場潜入」
上の写真を見て欲しい。これはSheinの商品と全く同じものが全く同じモデルによって撮影された商品がタオババで販売されているという事実である。なぜ、米国企業は「シーインだけ」を訴えるのであろうか?シーインを狙い撃ちにして、競争力をそごうとしていると考えるのが自然ではないだろうか。
河合拓氏の新刊、大好評発売中!
「知らなきゃいけないアパレルの話 ユニクロ、ZARA、シーイン新3極時代がくる!」
話題騒然のシーインの強さの秘密を解き明かす!!なぜ多くのアパレルは青色吐息でユニクロだけが盤石の世界一であり続けるのか!?誰も書かなかった不都合な真実と逆転戦略を明かす、新時代の羅針盤!
河合拓のアパレル改造論2022 の新着記事
-
2023/01/24
「大ディスカウント時代が到来」 この意味が分からないアパレルの未来は悲観的な理由 -
2023/01/17
H&MやZARA等が原価下回る価格で取引を強要 SDGs時代にこんなことが起こる必然の理由 -
2023/01/10
ビッグデータを制する企業が勝利する理由と、M&Aできない企業が淘汰される事情 -
2022/12/27
2023年のアパレル大予測 外資による買収加速・DX失敗・中国企業に完敗、が起こる理由 -
2022/12/20
中国企業傘下の仏メゾン「ランバン」米国で上場 いまや中国企業に追いつけない理由 -
2022/12/13
過去のヒットからAIが予測し売れる服を自動生成!?アパレル業界の課題とこれからとは
この連載の一覧はこちら [55記事]
ファーストリテイリング(ユニクロ)の記事ランキング
- 2024-09-03アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
- 2023-08-28ユニクロと東レとのサステナブルな関係から生まれたリサイクルダウン
- 2024-01-02勝ち組はSPAではなく「無在庫型」へ 2024年のアパレル、5つの受け入れ難い真実とは
- 2021-03-05ビジネスは「一勝九敗」 ファーストリテイリングを世界的大企業に導いた“柳井哲学”
- 2024-11-16ファストリが3兆円突破!24年8月期決算で語られた今後の成長戦略
- 2021-05-04大丸、三越伊勢丹…誰も語れない百貨店分析 政府の施策が百貨店を殺す「本質的理由」
- 2021-05-18全産業中ワースト2位の不都合な真実、アパレル業界の環境破壊と人権問題を解決する方法
- 2022-01-11ZARAとユニクロだけがなぜ余剰在庫を撲滅できるのか?本人達も気づいていないメカニズムとは
- 2022-05-03ユニクロ独走の秘密は販管費にあるのに、原価削減を繰り返すアパレルの実態とは
- 2019-04-12柳井正が語るユニクロ「働き方改革」の真価
関連記事ランキング
- 2024-12-10ワールドが三菱商事ファッション買収!進むアパレル垂直統合、2つの課題とは
- 2024-11-26イタリア繊維産業に学ぶ、高くても売れるビジネスの秘密とは 染めと売り方が段違い
- 2024-12-03ユニクロ柳井会長がウイグル綿花不使用発言に至った理由と影響、その複雑な背景とは
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2024-12-17あなたはいくつ備える?AI時代に生き残るビジネスパーソン3つの条件とは
- 2024-09-03アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
- 2023-09-26無印良品の一部となる三菱商事ファッションとユニクロ:Cの成功が意味することとは
関連キーワードの記事を探す
ファストリが3兆円突破!24年8月期決算で語られた今後の成長戦略
「亜熱帯化」でも売上を伸ばすユニクロ、伸び悩むアパレルとの違いとは
ユニクロが中間価格帯になったことに気づかない茹でガエル産業アパレルの悲劇_過去反響シリーズ