PLM大失敗で巨額のサブスクフィーを払い続けるアパレルを救う唯一の方法
日本企業は、アジア工場をM&Aせよ
今、アジアの工場は日本を向いていない。その証左は、リードタイムに表れている。中国で3ヶ月、バングラデッシュで半年から、小さいアパレルによっては、なんとリードタイムが一年というところもあった。
物理的に生産リードタイムが半年もかかることはない。どれほど遅くても、1ヶ月もあれば日本の米粒のような小さな発注などすぐできる。しかし、今、中国、東南アジアの工場の本音は「無駄なところやどうでもよいところを何度も修正させる」「サンプルを何度も作らせて、しかも金を払わない。」「ようやく量産発注がでたとおもったら300枚だった」「コストプレッシャーが強い」など、うるさい、細かい、やりなおしが多い、量産発注が小さい、儲からない、ということで、「日本向け生産は御免被る」ということなのだ。
今、アジア内陸のブランドがどんどん品質を上げており、内陸向けの仕事をしたほうが儲かるということで、アジアの工場の「日本無視」が始まっているのだ。今、日本の売れない中価格帯ブランドに作り場はないことをアパレル業界は知るべきだ。
単に、リードタイムが長くなっているからではない。こうした世界の潮流を読めば、商社はどんどん海外の工場を買収してゆくことになるだろう。実際、オンワードホールディングスは大連にスマートファクトリーをもち、またサンマリノという商社に出資をしながら商社機能を取り入れている。
また、OEMの雄、MNインターファッションは10社の工場を自社工場化し、500の協力工場を持っている。そして、リードタイムの長期化で悩んでいるアパレルに対して、「うちは自社工場ですから、自分たちでコントロールできますよ」という具合に、「作り場」を提供している。
一方、こうした取引先を使わず、「直貿」(商社を外して工場と直接業務をする形態)を狙うアパレルは、最初から直貿を将来目的としてPLMを導入しなければいけなく、しかも「まず、やってみよう」といって、戦略もなくPLMを導入すると大きな損を出すことになる。システムには、「まず、やってみよう」は通用しない。そのPLMをつかって、将来にどのようなビジョンをもっているのかをしっかり見ることだ。最後に、今、中国で最も成長しているアパレル企業、Shein(シーイン)を抜くのではないかといわれている企業をご紹介しよう。URLをつけたので、よくみていただきたい。日本企業はこれらの企業に完敗しているのだ。
TIB
首页-ITIB官方旗舰店-天猫Tmall.com
デザイナー参加型アパレル、ライブコマースによる販売
HSTYLE
首 页-韩都衣舍旗舰店-天猫Tmall.com
企画組織の細分化、独立性により適正な商品提供を実現。ただし、最近はそこまで目立っていない
その他中国国内ブランドの復活や国潮を背景にリブランディングした例
波司登2022首页-波司登官方旗舰店-天猫Tmall.com
河合拓氏の新刊、大好評発売中!「知らなきゃいけないアパレルの話」
アパレルはSDGsに殺される!なぜ多くのアパレルは青色吐息でユニクロだけが盤石の世界一であり続けるのか!?誰も書かなかった不都合な真実と逆転戦略を明かす、新時代の羅針盤!
プロフィール
河合 拓(経営コンサルタント)
ビジネスモデル改革、ブランド再生、DXなどから企業買収、
デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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