来店前に自社アプリを開いてもらうために、食品スーパーが実装すべき1つの機能

2022/09/28 05:55
    宮川耕平(日本食糧新聞社)
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    買い物は商品を探すときに始まる

     店舗まで来ないと買い物が始まらない・・・。これはリアル店舗の宿命でしょうか? そうではないと思います。同じ店舗在庫を扱うネットスーパーの場合、来店せずとも買い物が成立しています。

     それがネットスーパーというものだ? それはそうですが。店外で買い物ができるネットスーパーと、足を運ばなければ買い物が始まらない店舗との違いは何かということです。それは購入可能な商品を検索できるかどうかです。

     買い物は、自らの必要に照らして商品を探すことから始まる場合がほとんどです。与えられる情報から始まる割合は低いでしょう。特売情報を満載したチラシにしても、一人の顧客が実際に買うのは掲載品の中から多くて数品、割合は数%に過ぎないと言います。90%以上はチラシに載っていない商品を探して購入していることになります。

     オンラインショッピングでの行動を考えても、買い物はプッシュされた情報からよりも、自ら検索した情報を主体としていることが確認できると思います。オンラインではいつでも検索を始められるので、サイトを訪れる頻度も高まります。

     私個人は、アマゾン(amazon.co.jp)のサイトを訪れる頻度がYahoo! JAPANより高いくらいです。何か必要を思いつくたびにサイトに行き、検索しています。個別の商品を探すというより、カテゴリーの検索から始まることが大半です。枕を買い替えたいとか、新しいノンアル飲料を探したいとか思うとき、アマゾンにアクセスします。

     時間をかけてサイト内のページ遷移を繰り返し、商品を見比べます。必要を感じたらメーカーのHPやYouTubeなども使ってさらに詳細に調べます。店でこんな時間はかけられませんが、オンラインならできます。もし店内で同じように情報を取得できるとしても、その場では処理できないでしょう。

     食品スーパーも、店内在庫のネット検索が可能になるとき、顧客は来店前にもアプリを立ち上げるようになるのではないでしょうか。自分が探したい商品を探せるからアプリを開く。そうした行動が定着して初めて、店側が伝えたい情報も目に入るようになるのでは。

     もっとも、店舗の在庫検索が可能なことだけをもって、店の競争力が高まるわけではないでしょう。何年か前に店舗在庫のネット検索を可能にした実験店がありましたが、続きませんでした。ただ、アマゾンと食品スーパーのアプリを照らし合わせて考えてみると、両者の使い方の違いは商品検索にあると思う次第です。

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