低価格と付加価値を両立し、リアルでもネットでもナンバーワンを目指す!西友の今とこれから!
OMOで顧客満足度を高める
リアル店舗でのさまざまな改革と並行して、西友がめざしているのが「革新的なOMOリテーラーになること」だ。その柱として掲げているのがデジタルマーケティングとネットスーパーである。22年4月には株主である楽天グループと連携し、「楽天ポイント」を軸としたデジタルマーケティングを本格的にスタート。実店舗とネットスーパーのデータを一元管理することで顧客のニーズをより正確に把握し、商品開発や品揃え、来店時間帯に合わせた売場づくりに活用することで顧客満足度を向上させる。決済機能やポイントカード機能を搭載し、ネットスーパーも利用できる「楽天西友アプリ」を通じてデータを収集し、分析の精度を高めていきたい考えだ。
ネットスーパーは実店舗と分けて考えるのではなく、両方あわせて商圏内の消費者の顧客体験を向上させることをめざす。実店舗から半径1.5~2km圏内は店舗出荷型で対応し、それ以外のエリアを倉庫出荷型で網羅するハイブリッドでネットスーパーを運営。配送エリアを狭商圏高密度とすることで配送効率を高め、店舗出荷型では大半の店舗で黒字化を達成している。倉庫出荷型では中心拠点(ハブ)に貨物を集約したうえで拠点(スポーク)ごとに仕分けて運搬する「ハブ&スポーク」を採用し、効率的な配送体制を構築している。
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このように、西友はウォルマート傘下時代のEDLPを強みとしつつ、さまざまな改革に取り組んでいる。ネットスーパーでは中計の目標に掲げた25年度に流通総額における構成比2ケタを24年度に前倒しで達成できる見込みであり、すでに大きな成果が表れている。
一方、生鮮や総菜の付加価値向上などを中心とするリアル店舗の改革の効果がいっそう顕著に表れるには、まだ一定の時間がかかるようだ。実際、消費者を対象としたウェブアンケートでは、以前から強みとしている価格の安さやPBは評価されているものの、生鮮や総菜の品質を評価する声はまだ限定的だった(72~74ページ参照)。また、SMを中心に業務改善のコンサルティングに携わる新谷千里氏は、一部の店舗では青果の鮮度管理には課題があると指摘している。そうした意味では、西友の“変身”はまだ発展途上ともいえ、伸びしろが大いにありそうだ。
実際、長野北店を筆頭に、すでに改革が浸透している成功例は積み上がってきており、確実に西友は進化していると言える。西友の21年度の売上高は7373億円で、SM業界トップのライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)とほぼ同規模。今後改革が進んでいけば、「食品スーパーとして業界ナンバーワンになる」という目標を達成する日も遠くないだろう。本特集を読み、西友がどのように“変身”しているか、ぜひ見てほしい。
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