人材入れ替えと組織再編で「戦う集団」に!アパレルの雄・ワールド復活の戦略とは

2021/12/10 05:55
    油浅健一
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    体質改善で人的リソースを最大化

    低迷の元凶を「かつての成功モデルへの固執」と据える鈴木信輝社長。それだけに、改革へ向けては「妥協」の二文字はない。「戦う集団への再生に一切の聖域はなく、躊躇なく舵を切る。成果を出した事業には投資を再開する」と抜本変革を語る言葉には力がこもる。

    ポイントは、決して外部人材頼りではなく、あくまでも体質改善が軸であるという点だ。

    「いろんな外部の人材に入ってきていただいているが、我々が常識だと思っていること、お店の作り方と見せ方とか、彼らから見ると古かったりちょっと違ったりするということをどんどん指摘いただき、リセットして欲しい」と鈴木社長は、既存人材にも期待するからこそ、起爆剤としても外部人材に期待を寄せる。

    その上で、鈴木社長は「アパレルブランドの復活なくして、ワールド復活なし」と力説。あくまでもブランド、ファッションが同社復活のコアであることに変わりないことを繰り返した。

    鈴木社長が目指す「戦う集団」は、ライバル企業はもちろん、消費者、そして社会とも戦える熱量にあふれる人材の集まりを意味する。そうなって初めて、先行きが読めない情勢でも生き残れる、強い企業体への脱皮を果すことが可能になる。

    新生ワールドで再び、アパレルの雄として存在感を

    中期ビジョンで、雑貨、EC、新規事業を新たな収益源の3本柱に
    中期ビジョンで、雑貨、EC、新規事業を新たな収益源の3本柱に

    中期ビジョンでは、新たな収益源として「雑貨」「EC」「PF(プラットフォーム)外販」を3本柱に掲げる同社。これら事業にも外部人材が積極投入される。加えて、M&A(合併・買収)やシステム投資も状況に応じて行い、低迷脱却へ経営資源を最適かつ最大限に分配する。

    60年以上前に卸からアパレル事業に参入し、変革しながら成長を続けてきた同社。かつてない危機ではあるが、歴史を振り返れば、ピンチを着実に進化につなげ、ステップアップを実現している。

    大量リストラなど、痛みを伴う構造改革には一定のめどがついた。下期ではコア営業利益の黒字転換を見込み、いよいよ復活へ向け、アクセルを踏み込む。

    アパレル業界の勢力図は、いまや強大な一強を除けば、多様性に富む群雄割拠状態ともいえる。もはやかつての地位は揺らいでいるが、それだけに、過去との決別覚悟で復活を期する同社が、どんな姿で復活を遂げるのか?そのプロセスも含め、注視しておくべきだろう。

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