未来を予測しない

2013/12/06 00:00
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 師走の声を聞くと、そろそろ様々な雑誌の新年号が顔を見せ始める。

 目玉の記事のひとつは、「2014年徹底予測」などの予想記事だ。

 

『チェーンストアエイジ』誌でも何年かに1度、思い出したように掲載していたのだが、思いのほか当たらないというのが、私の本音だ。

 

 ところが、未来予想には、思わぬ魅力や安定した需要があるようで、読者からの要望は絶えない。

 

 また、たとえば、講演を依頼される時には、たいてい「流通業界の予想」という項目が入っていたりする。

 そんな際は、「私は預言者じゃありませんので…」という理由で、その部分については丁重にお断りするようにしている。

 

 大体、自分の明日も見えないような人間の未来予想など当たるはずもない。

 

 もちろん、人口動態のような、故ピーター・ドラッカー教授の指摘する「すでに起こった未来」であれば言及することは可能だ。ただ、それはほぼ確定した事実なのであり、“予想”という言葉は、必ずしも適当ではないような気がする。

 

 蓋然性が不明な事象について予想する人のほとんどは、易者や馬券師と大差がなく、いい加減なものだ。

 そんなに未来が分かるなら、彼らにして、なぜ世界一の大富豪ではないのか?

 

「当たるも八卦、当たらぬも八卦」をちゃんと分かっている人が、彼らの予想を楽しむ、という娯楽はあるだろう。

 

 けれども、経済予測の場合は、シャレにならないミスリードという事態も起こり得るので、『チェーンストアエイジ』誌の場合、たぶん、しばらくは予想特集を実施しませんので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
 

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