お客の大半は外国人! 京都・烏丸、夜にだけ行列ができる飲食店の謎

2024/01/19 05:59
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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壁には「ハラール認定証」が

 関心を持った私は「実際に食べてみたい」と思い、Ayam-Ya烏丸店にやってきた。ただ並びたくないため、空いている昼時に足を運んだ。

昼のAyam-Ya烏丸店。なお東京にはFC店の御徒町店がある

 早速、店内へ。入口すぐ左手にある券売機の前に立ち、定番の「醤油 鶏そば」(1080円)と「唐揚げ」(640円)のチケットを購入する。

 案内された席に座り、料理が来るのを待つ。お客は私のほか、カウンターに1名、さらにその奥のテーブル席に数組が座っていた。いずれも外国人である。

 壁には「ハラール認定証」が掲げられている。自主的に豚を使わない努力をするだけでなく、外部機関によって認証されているのは、利用者にとっては安心だろう。

壁には「ハラール認定証」が掲げられている。認証を受けたのは2015年とある

 約5分後、私の前に注文品が置かれた。白っぽい鉢に対し、ややオレンジがかったスープ、緑のネギ、トッピングとして乗せてある赤い糸唐辛子の対比がおもしろく、食欲を刺激する。チャーシューはチキンのようだ。

まずはスープ。意外にあっさりしているが、ニンニクの香りがよいアクセントになっている

 まずはスープ。れんげに少量をとって口へ運ぶ。意外にあっさりしているが、ニンニクの香りがよいアクセントになっている。続けて麺である。表面積が広い平打ち麺なので、スープがからみ、とてもおいしい。続けて、唐揚げも食べたが、こちらもうまかった。

まずはスープ。意外にあっさりしているが、ニンニクの香りがよいアクセントになっている
唐揚げも食べたが、こちらもうまい

 店を出る時、外国人の女性スタッフに質問すると、利用客はインドネシア、シンガポール、マレーシアからの観光客が多いとのことだった。興味深く感じたのは礼拝室を設けている点。向かいの建物の3階にあったが、ムスリムにとっては不可欠な施設のようだ。

 では夜に行列ができる一方、昼は空いているのはなぜだろうか。これについては「明るい時間帯は、京都各地の観光地に出かけているからだと思う」と女性スタッフは教えてくれた。なるほど、これですべての謎が解けた。

ムスリムにとり重要な施設である礼拝室も設けている

 京都でもムスリム需要は年々、拡大する傾向にある。市場を細分化、標的市場を定めた上で、自らの市場ポジションを決める。Ayam-Yaは、そうしたマーケティングの手法をまさに実践しているわけだ。

 標的市場をねらっているとはいえ、基本、鶏白湯ラーメンなので、日本人にとってもおいしい。興味がある人は行ってみるとよいだろう。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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