京都の眺望を楽しみながら味わう本格中華、好立地なのにリーズナブルな理由は?

2024/03/15 05:59
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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本格中華をいただく

 エレベーターを降りると、そこは中華料理店。母と一緒だったため、女性従業員に「2人です」と伝えると窓際のテーブルに案内された。

 これが私たちの席。開放的な雰囲気で、眺めは最高。時間は平日の12時過ぎ。まさにランチタイムなのに、スムーズに座ることができた。

窓際のテーブルに通された
開放的な雰囲気で、眺めは最高

 早速、何を注文するかを検討する。ランチメニューの写真を見てもらうとわかるが、これが非常にリーズナブルなのだ。中心の価格帯は1000〜1100円(税込)で、もっとも高くても1600円。このロケーションで、かなりお手頃である。私は「坦々麺定食」(1100円)、母は「酢豚定食」(同)を頼んだ。

ランチメニューに載っている料理はいずれもリーズナブル

 今回、なぜ母と一緒に来たかと言えば、小さい頃、家族でこの店に時々来ていたという話を聞いていたからだ。母が子供の頃というと、もうずいぶん昔の話である。

 店の公式Webサイトで調べると、桃園亭の起こりは大正3年(1914年)。今年、創業110年を迎える計算だ。ここ河原町に三階建ての店を構えたのは昭和20年代、以来、「純北京料理」を標榜し営業を続けている。母が食事していたのは、三階建時代だったのかもしれない。

 しばらくして私の目の前に「坦々麺定食」が届けられる。早速食べたが、坦々麺はもちろん、セットになっている唐揚げや炒飯も本格的でとてもおいしかった。母も満足そうである。

私が注文した「坦々麺定食」

 さて記事の冒頭、近くを散策するという謎の行動をとったのには訳がある。それは桃園亭の窓から、あちこち回った観光スポットをすべて見られるのだ。席にはそれらの位置を示す写真が置いてある。「建仁寺はこれ、八坂の塔はあれ」と探しながらの食事も楽しい。

席には、観光地の位置を示す写真が置いてある。景色と見比べながら食事するのも楽しい

 眺めは最高、本格的な料理、しかも老舗で場所は一等地──。にもかかわらず価格はとてもリーズナブルである。普通に考えると、13階でこれだけの店を持つだけでも相当な賃料がかかるはずだ。

 種明かしをすると、店を経営しているのはこのビルのオーナーなのだ。12階まではマンションになっており、不動産賃貸業がおもなビジネス。そういった事情で、リーズナブルな本格中華を提供できるようである。

 個人的には穴場だと思う。ご興味ある方は、ぜひ行ってみてはどうだろうか。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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